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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第62話 聖女宅

 麗華が足を止める。

 そこにあったのは西園寺家の大豪邸に負けず劣らずな大豪邸。違う点といえば、西洋風な大豪邸だった西園寺家に比べると、こちらはかなり和を用いた日本家屋を大きくした大豪邸というところだろう。


「ここに聖女が住んでいるのか?」


「そうだよ。ここがまいちゃんが住んでいる家だよ」


 巨大な塀に遮られても、見える大豪邸に唖然としていると、目の前にある巨大な門が開いた。ゆっくりと開く門、そこから見える大豪邸の全貌は、塀の外から見えていた比ではない豪邸さだ。


「れいちゃん!」


「久しぶり、まいちゃん」


 敷地内から飛び出してきた女性が、俺の隣にいる麗華に飛び付いた。

 弾丸を思わせる飛び付き方だったが、そこは流石【日本最強の冒険者】、一切身体が仰け反ることなく、飛び付いてきた女性を受け止めている。


「北海道でスタンピードが起きたみたいだけど、大丈夫だった!?」


 麗華の胸元に顔を押し付けていたため、見えていなかった女性の顔が見えるようになった。

 その顔は童顔と呼ばれる類の幼いもので、中学生と言われても納得できるだろう。逆に二十歳を超えていると言われても信じられない程に童顔だ。


「大丈夫だったよ。なんたって私は日本最強だからね」


 そして麗華の顔も違っている。

 札幌ギルドのギルド長に向けていた蔑むような目とは違い、赤子を前にしたような、優しい目をしていた。


「流石れいちゃん!!」


「ありがと」


 麗華は自分の胸元近くにある女性の頭を撫でる。

 女性が浮かべているのは、人に見せられるような表情ではなく、とてもだらしのないものだった。


 なんか、そんな女性の表情を見ていると、いけない物を見ている気がしてくる。


 俺は目を逸らし、だらしない表情を浮かべている女性のことを極力視界に入れないようにした。


「そっちの人は?」


 しかしその行動が、却って女性の気を引いてしまったようで、俺のことを麗華に聞いていた。そう、俺に直接聞いて来るわけではなく、直ぐ近くの麗華に聞いている。


「その人は悟。私とパーティーを組む人」


「えっ!? れいちゃん、冒険者業を再開するの!?」


「そうだよ。悟と一緒にする冒険は楽しかったからね」


 麗華の言葉に勘違いしそうになるが、彼女が楽しんでいるのは、俺の従魔であるゴン太たちが居る冒険だ。決して、俺が居るから楽しいというわけではないだろう。


「そっかぁ、再開するのかぁ……」


 女性は麗華の胸に、頭を擦りつけている。

 頭を揺らすのに合わせて、可愛らしいそれも揺れていた。その眼福な光景に視線を引っ張られそうになるが、確固たる意思で視線を大豪邸に固定する。


 すると、開いた門の先にある大豪邸の扉が開かれた。スライド式の引き戸が開かれると、そこに屈強な大男が立っている。

 それと同時に肌で感じるようになった圧は、【洞爺湖ダンジョン】のボスである氷龍(アイスドラゴン)にも勝っているような気がした。だって睨まれているんだもん。


「お父さん!」


 麗華の胸元に居た女性が、大豪邸の玄関に立つ大男に駆け寄っていく。つまりだ、あれは聖女と思われるまいちゃんの父親。そしてその父親は俺を睨んでいる。それはもう、すごく鋭い目で睨んでいる。俺は聖女に凜々花のことを頼めるのだろうか……。


「手招きしてくれているから、行こう」


「ちょ、まだ心の準備が――」


 父親は俺たちに向かって手招きしていた。しかし変わらず眼光は鋭い。

 何とか心の準備を整えようとしていたが、麗華に腕を引っ張られてしまい、準備が整う前に門を潜ってしまった。


 凜々花よ、俺はこれから死地へ向かう。無事に帰ることができたら、絶対に起こしてやるからな。


                ◇◇◇◇◇


 家の中へと招かれた俺は、正座していた。

 隣には麗華が居て、斜め前には聖女と思われるまいちゃんが居る。そして対面には、聖女の父親だと思われる大男が座っていた。


 麗華と聖女が仲良く話しているのに対して、俺と大男の間には沈黙が流れている。それも睨まれ続けながらの沈黙。気まずいなんてものじゃない。息をすることすら、厳しいと思ってしまう、殺伐とした沈黙だ。


「天気がいいですね」


「……」


 何とか沈黙を打開しようとはしたが、大男は返事すらしてこないため、俺がいくら喋ろうと最終的に沈黙が訪れてしまう。


「……」


「……」


 鋭い眼光を浴びせられながら、俺は大男から目を逸らさない。理由は特にないが、強いて上げるとすれば、敗けたような気がするからだ。


「……」


「……」


「お父さん、恥ずかしがってないで、話しなよ」


「……しかしな」


「変わってないね」


 はっ?

 もしかして、この大男はただの人見知りなだけなのか? もしそうだとしても、睨みつけて来ている以上、そこに敵対心はあるはずだ。


「それに、メガネはどうしたの?」


「……忘れた」


「ただでさえ目つきが悪いのに、目が悪い状態で人前に出て来たら、目を細めて、人にお見せできる目じゃなくなっちゃうよ!!」


 ……ただコミュ障、人見知り、目が悪いだけの人だったみたいだ。


「ほら、話してみなよ」


「……娘はやらん」


 訂正だ。変な人ではあったみたいだ。



次回、聖女との交渉が始まります


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