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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第59話 【十聖】呂布 2

 三日月状の炎による斬撃は、呂布へと迫る。

 呂布は右手を開いた状態で突き出し、斬撃を受け止めた。


「……」


 『やったか』なんて言わない。

 フラグを建てないようにしているという訳ではなく、そもそもこの程度の攻撃で倒せるとは思っていないからだ。

 俺の考え通り、煙が晴れた先に居る呂布は、火傷すらもなく無傷だった。


「所詮この程度か」


 呂布は自分の掌を見つめながら、呟いている。

 そのまま呂布は拳を握った。


「――っっっ!!」


 攻撃を来る予測は当たっていたが、やはり威力が高すぎて、完全に威力を殺し切ることはできなかった。

 俺は吹き飛ぶ。しかし先刻とは違い、地面を転がりながら、体勢を整えて直ぐに復帰し、再び【長谷部】を振り抜く。


「何度やろうと、効かないものは効かない」


「ゴン太!」


 ゴン太は俺の意図を理解し、“狐火”を生み出す。

 俺が放った三日月状の炎は、ゴン太が生み出した“狐火”を切断し、その力をも呑み込む。

 俺の【シンクロ】による“狐火”では、威力が足りないのかもしれないが、ゴン太が生み出した本家“狐火”の力が合わされば、ダメージを与えられるかもしれない。


「むっ……」


 呂布は手を引き、飛び退いた。

 ダメージを与えられるかどうかは分からなかったが、警戒させるだけの威力があることは分かった。それだけで十分だ。


「たぬ吉、タマ!!」


 たぬ吉の“湧沸”とタマの音の斬撃が、飛び退いて空中に居る呂布へと襲い掛かる。

 だが軽く手を振るだけで、掻き消されてしまった。だがそんなことは端から分かっている。


「私相手に接近してくるか」


「――」


 相手の言葉には乗らない。

 ただ口を閉じたまま剣を振り抜くだけ。掴まれて、振り抜くことはできないが、呂布の右手を塞ぐことができた。


「ゴン太、たぬ吉、タマ!!」


 “狐火”と“湧沸”、音の斬撃が一斉に呂布へと襲い掛かる。

 そして俺も追撃を仕掛けるように、片手を【長谷部】から離し、【シンクロ】による“狐火”を射出する。


「面倒な」


 呂布は冷徹な表情を崩さない。

 その表情のまま、全ての攻撃を身体で受け止めた。


「多少焼けたか」


 刹那、俺は殴り飛ばされていた。

 【長谷部】は俺の手から離れ、呂布の手の中にある。


 凜々花の剣を、取り返さなければ。


 そんなことが頭に浮かぶよりも早く、俺は不可視の壁に激突した。数百メートル吹き飛ばされている。そんな距離から戦線に復帰するためには、十数秒の時間を要するだろう。


「ゴン太――」


 残されたゴン太たちの身を案じ、大量の消耗など考えずに全力で駆ける。プロ陸上選手もビックリな速度が出ているが、それでも満足できない。一秒でも早くゴン太たちの下へと行かなければならないんだ。


「はぁはぁ」


「遅かったな」


 そう言う呂布の手の中には、首を絞められてぐったりしているゴン太の姿があった。


「――」


 亀之助がやられた時の比にならない絶望と怒りが、頭の中を真っ黒に染め上げた。


 しかし心は温かい。そしてこの熱を、俺は知っている。


 あれはゴン太と出会ったばかり、“狐火”を初めて見た時に感じた心地よい熱。しかし謎だ。【シンクロ】を使っていないのに、この熱を感じられている。それも身体の奥底、心臓から強く感じている。


「――」


「……お前の身に何が起きているのか知らないが、面倒事は早めに片付けておこう」


 呂布はゴン太を地面に落とし、俺から奪った【長谷部】を構えた。

 確実に飛ぶ斬撃が飛んでくる。それも俺が放ったものとは比べ物にならないほどに高威力な斬撃が。


 俺はどうするべきだろう。逃げようにも、斬撃が放たれてから避けられる反射神経はない。そもそも呂布が放つ斬撃に、逃げ場など存在しているのだろうか。


 そんなネガティブな思考が、頭の中を支配している。ネガティブ思考を晴らすため、ゴン太の熱がある胸に手を置く。


「よし」


 頭がすっきりした。

 人間追い詰められると、逆に冷静になるってのは本当だったみたいだ。すっきりとした頭でこの死地を生き抜く方法を考える。


 しかし呂布は俺に考える時間を与えることなく、【長谷部】を振り抜いた。


「――っっっ」


 俺は咄嗟に屈んでいた。

 それは凜々花の攻撃を間近で見ていた俺だからこそ、反射的に動けていたのだろう。


 それは後ろを見れば分かる。

 洞爺湖ダンジョンにある全ての木々が切り株に変わっていた。数十キロに及ぶダンジョンに生成されている木々の全てだ。その攻撃を避けるなど、常識的に考えて不可能だ。


「上過ぎたか。次は当てる」


「――!!」


 次は当てて来る。俺の中にはそんな確信があった。

 敵でありながら、そこは信頼している。アイツの実力であれば、次の斬撃は確実に俺に当てて来る。


 だから俺は走った。

 呂布との距離を詰め、もう一度超至近距離でシンクロによる“狐火”を当ててやる。


「やはり弱者の思考は読めないな」


 俺の足の速さでは間に合わず、【長谷部】が振り抜かれた。


 カラン


 金属が地面に落ちるような音が聞こえて来た。



【長谷部】の飛ぶ斬撃は、使用時の魔力量によって威力が変動します。


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