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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第300話 会談と会議

 モディクとの戦いから一か月が経過した。

 まいちゃんの献身的な治療の甲斐もあって、全身の怪我は晴れて元通りになった。あの無理から後遺症なく復帰できたのは、まいちゃんのお陰だとしか言えない。


「左腕を治してくれてありがとうな」


「全然気にしなくていいよ。私たちのお願いも聞いてもらったわけで、一方的な施しじゃないもん」


「それでも感謝しているから」


「じゃあこっちも、あのスケルトンたちを倒してくれてありがとう」


 まいちゃんと握手する。

 この握手は、新日本国と窪田王国の国交を樹立するという意味も含まれている。そのため友好関係を示すため、写真で残す必要があった。幸い、江梨子から預かっている物品の中には、魔石で動くカメラがあったため、特に苦労することなく写真に残すことができた。


「鹿児島攻略の時は、よろしく頼む」


「うん。豊臣と【魔十二槍】は悟たちの問題じゃなくて、日本、延いては世界の問題だから。当然、私たちだって協力するよ。ね、りりちゃん」


「ああ、当然協力する。私もアイツにムカついているからな」


 凜々花とも握手をした。

 そして俺たちは両陣営に別れる。


 対面に居るのはまいちゃんと凜々花。

 俺の背後に立つのは従魔たちと麗華。そして徳川広忠だ。


 広忠に『娘のいるここに残ったらどうだ』と提案したが、与えられた職を、何もやらずに辞するのは、自分のプライドが許さない。的なことを言われて断られてしまった。


 確かに窪田王国の地下にあるダンジョンの管理を任せてしまったから、後任が育つまで我慢してもらおう。そして後任が育ったら、駐京都大使としてここに住んでもらうとしよう。


「何かあったら、これで連絡をくれ」


 江梨子から渡されている魔道具の一つ、【転送紙】の送信側と受信側をそれぞれ一部ずつ渡す。

 これがあれば、一度だけ連絡を受信側に送ることができる魔道具だ。当然、ペアの受信側と送信側は俺が持っている。これで緊急時だけ連絡を取れる。まあ移動にかなりの時間を要するから、あまり意味はなさないんだが、危機を伝えることは出来るからな。


「じゃあまたな」


「うん、またね」


 俺たちはまいちゃんたちとの会談で利用した寺を後にして、窪田王国への帰路に就く。また富士山付近の強力な魔物が生息している地域を通ることになるんだろうが、モディククラスの強い魔物は居ないはずだ……【シンクロ】の過剰利用はしなくて済むだろう。


「じゃあ麗華、帰りも頼む」


「うん」


 麗華が作り出した氷球に乗り込み、危険な飛行旅行に洒落込む。

 たぬ吉、タマ、亀之助、悟空、竜馬の頭を順番に撫でていく。今回の戦いでは、ウチの従魔たちは殆ど参加できていなかった。まあ麗華も一般スケルトンの掃討くらいしかしていなかったから、殆ど俺一人の戦いと言える。ただモディクと戦うときに、従魔たちが万全な状態だったとしても……まあ難しかっただろうな。


 新日本国領の近くにあるダンジョンに、たぬ吉たちだけで挑んでいたらしいし、きっと強くなっているんだろう。その姿を見るのが、今から楽しみだ……。眠いなぁ……何かあったら起こしてくれるだろうし、一回寝るとしよう……。



 ――鹿児島県某所。


 そこには巨大な城が建築されていた。

 大阪城をそのまんま移動させたかのように、瓜二つな建造物だ。


 最上階に作られた一室。

 そこには縦長の机が置かれており、誕生日席や主賓席と呼ばれる場所には、一際豪華な椅子が置かれており、空席となっている。


 左右それぞれ六席ずつ置かれた椅子には、末端の一席を除いて個性豊かな人々が座っていた。


「モディクがやられたらしいね。まあ、あの子は戦う気がなさそうだったし、当然と言えば当然かな?」


『【魔十二槍】“第一席”アイン』


 最も主賓席に近い椅子に座るのは、ユニコーンの魔人アイン。

 魔人だと言われなければ気付けない見た目に、医者であることを主張するような白衣。しかし纏っている覇気は、この場で最も強い。


「でも残念です。あの子はもっと強くなれたというのに、鍛錬を放棄して、歌なんてものに現を抜かすなんて、せっかく豊臣様に力を頂いたというのに」


『【魔十二槍】“第二席”――』


 アインの対面に座っていたのは、着物の美しい女性だ。

 その一挙手一投足に華やかさと品性を感じさせ、アインを除いたこの場の魔人たちを全員魅了している。そんな魔性さも併せ持っている。


「どうでもよい。あのような矮小な存在、居ようが居まいが戦局に変化はあるまい」


 『【魔十二槍】“第三席”玉藻御前』


 アインの隣に座るのは、炎をモチーフにした着物を着用し、尾てい骨の辺りから九つの尾を生やした九尾の狐の魔人玉藻御前(たまもごぜん)だ。


「私もその意見にさん――ッ」


 玉藻御前の対面に座る者が、口を開こうとした瞬間、部屋の扉が開かれた。天井から黒い羽根が堕ちる。

 十一枚の黒い羽根は、立ち上がっていた十一名の頭部へと、ピンポイントに堕ちた。羽根は溶けるように頭部へと吸い込まれていく。


「モディクを俺の元から奪うとは、何とも憎たらしい。これは宣戦布告に足る理由だろう」


 悟に舞子の居場所を伝えるように、シュペンへと命令したのは豊臣だ。その理由は単純。悟たちを攻める正当な理由を作るためでしかない。


「しかしまだその時ではないでしょうね」


「アイン、詳しく言ってみろ」


「貴方の目的は世界の王に成ること。であれば勝利が確実であっても、消耗を強いられる戦いをするには、我々は少々基盤が弱い。強者と言うのは日本だけではなく、世界各国にいる。アメリカの“自由の女神《スタチューオブリバティ》”、イタリアの“聖女”、イギリスの“魔法省”、ロシアの“冬将軍”などなど……とにかく時間は、魔人である我々の味方ですから、じっくりと攻め立てる。元々その計画でしょう、木下君」


「……ああ、そうだったな」


 豊臣は主賓席に腰を下ろす。

 着席を見届けてから、魔人たちも再び着席した。


「戦略会議を始めようか」


 司会を務めるのは、アイン。

 悟がよく見ていた、胡散臭いを笑みを浮かべている。


 ――【第4章 王と皇】完



これにて第4章完結となります

【第5章 窪田王国】もお楽しみください


次章は内政を主に進めていくので、戦闘は少ないと思います。代わりに章自体が短め……の予定です。


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