表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
292/295

第293話 海中

 凜々花が振り抜いた刃は、過去最大の斬撃を生んだ。

 天より注ぐ不可視の斬撃は、太陽の光を吸収して、暖かい輝きを放っている。斬撃は敵の首魁へと炸裂し、大きな衝撃波を発生させた。


 スケルトンを包んでいる氷を砕き、クジラレベルに巨大なスケルトンに置かれた鉄板をも砕き、俺たちの足場を破壊した。骨の隙間をスルスルと落ちて行き、例外を残さず、皆海水へと落下してしまう。


「……」


 瞬時に、酸素を取り込んでから落下できたので、あと数分は大丈夫なはずだ。その間にたぬ吉たちのことを救出して、何とか氷上へと行かなければ……。


 海面にクジラスケルトンが居るせいで、海中はかなり暗い。

 この暗所でたぬ吉たちの姿を発見するのは、かなり苦労するだろう。だがアイツ等が泳げるかどうかは、試したことがないため分からない。もしもを考えて、絶対に探さなければならない。


「……」


 バタバタと足を動かしながら、たぬ吉たちのことを探る。

 何度か海水の揺れを感じ、手を伸ばしてみたが、氷漬けにされたスケルトンの残骸ばかり。たぬ吉たちは一人も見つけられていない。


 それだけではなく、敵の首魁も手掛かりがない。あの斬撃で死んだのか、それともこの暗黒の海中にて体力を回復させているのか。あれが魔人だった場合、海中でも呼吸ができる可能性がゼロとは言い切れないから、その可能性は大いにあるな……どちらにしろ、海中に居続けるのはよろしくない。先に氷上を目指すか。


 かなり深いところまで潜って来たため、ゆっくりと浮上する。身体が頑丈になっているとはいえ、減圧症を避けられるとは限らない。力を得ても、自然の力にはまだまだ届かないからな。


 海面が見えて来た。

 巨大なスケルトンは、未だにその場に浮いている。今になって思ったが、全身骨しかなく、浮袋の役割を果たせるものがない、クジラスケルトンがどうやって浮いているのか、原理は全く分からない。まあ大方、魔物としての能力が浮かせているんだろうな。


「――ぷはっ」


 新鮮な空気……クジラスケルトンの骨の間なので、新鮮かどうかは分からないが、とにかく酸素を取り込む。吸ってから思ったが、ここで毒でも出されていら、俺は死んでいただろうな。まあ結果的に、死んではいないので、毒は撒かれていなかったのだろう。


「はぁはぁ、他の人たちはまだ海の中なのか……」


 氷上へと這い上がったが、誰の姿もない。

 俺が世界に一人ぼっちになった……そう錯覚してしまうほど、氷の大地は平らに続いていた。この氷の下には、たぬ吉たちも、凜々花も、麗華も、そして敵の首魁も居る。


「ふぅ……」


 大量の酸素を取り込んでから、再び海中へとその身を投げる。

 大量の水飛沫が上がり、泡で周囲が何も見えない。身動きの取りにくい水中で、視界もかなり悪い。人によっては最悪の状況だと言うだろう。だが俺にとっては、そこまで悪い状況だとは思っていない。


 【シンクロ】で亀之助の力を借りれば、水中であろうと地上のように速く移動することができる。呼吸もできれば良かったんだが、亀之助の元になったであろう動物のカメは、人間と同じ肺呼吸。残念なことに呼吸をするためには、海面へと顔を出さなければならない。


「――ッ!?」


 視界に入って来たのは、凜々花たちでも、敵の首魁でもなかった。魔物。しかしウチの子であるたぬ吉たちではない。氷から解放されたスケルトンでもない。そして動物を魔物と見間違えているわけでもなかった。


「……」


 前方、数十メートルのところ、そこには巨大な触手があった。

 触手は何処からか伸びて来ており、本体の姿は視認することができていない。だがその魔物の名は、知識の浅い俺でも分かる。クラーケン。巨大な蛸の見た目をした魔物だ。


「……」


 周囲を軽く見渡してみるが、他の者は誰も居ない。

 俺一人でかつ、水中という不利な戦場で、龍には劣れど、水中においては最強クラスの魔物に打ち勝たなければならないということだ。


「……」

 

 掌から炎を出してみるが、燃やすことは可能でも、地上に比べると燃費が著しく悪い。こんなのを使っていれば、数分でガス欠になってしまうだろう。


「……」


 不利な状況が積み重なり、後退することも考えたが、触手の動き的に、こいつは俺を逃すつもりはない。背中を見せた時点で、直ぐに襲い掛かってくるだろう。


「――」


 亀之助とたぬ吉の水を生み出す力で、推進力を生み出し、急加速。

 地上に比べたら全然速度は出ていないが、少なくとも触手の初撃は避けられた。あとは本体を探し、消耗覚悟で“火拳”を撃ち込む。


 あの女が生き残っていることも考えると、一撃で決めなければいけない。ミスれば死。その覚悟の元、拳を握った。



世界は変わった。

生息地の違いから人の手が届きにくい大海は、既に魔物の巣窟と化した。


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ