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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第289話 スケルトン軍団

 俺たちが迎撃に来たのは、新日本国の北方。

 旧日本国の区分で言えば、舞鶴湾と呼ばれていた場所だ。


「本当に、スケルトンだな……」


 海洋の先に見えるのは、クジラのような巨大な骨の上に、鉄板のような土台が乗せてある、空母のような姿をしたスケルトン、そしてその上に乗っている大量の、多種多様なスケルトンたちだ。


「あれが、私たちでは撃退しかできなかった軍団だ」


「なるほど、これだけの数が居ると、全員を撃ち落とすってのは、難しいかもな」


「取り敢えず、敵の技量を見せておこう」


 そう言うと、凜々花は腰に差してあった剣を抜いた。

 それは見覚えのある得物だ。俺が使用すると、特殊な飛ぶ斬撃を放つことができた、銘は【長谷部】。


 俺と凜々花をここまで連れて来てくれたと言っても過言ではない、愛着のある剣だ。


「それを使っているんだな」


「ああ。使い勝手がいいからな」


 凜々花は剣を構えた。

 横薙ぎ。飛ぶのは不可視の斬撃だが、あまりの威力に、大気が歪んで見えることで、間接的に斬撃の姿を視認することができた。


 斬撃はスケルトン空母へと一直線に進み、一秒程度で着弾したはずだ。しかしスケルトン側に被害は見られない。あの斬撃を防いだ者が居る。それだけでこちらの警戒度は一気に高まった。


「“落骨”」


 かなりの距離があるというのに、その声は鮮明に耳へと届いてきた。

 刹那、数千に上る鋭く尖った骨が、こちらへと迫って来た。“水弾”で様子を見てみたが、砕けるどころか欠けさせることすらできていない。物量にプラスして、一定の強度がある。かなり強力な攻撃だ。


「どれくらいの威力で破壊のできるのか、試してくる」


 俺は全力で跳躍し、海を越えて地上へと来ている骨の束へと向かう。


「【シンクロ】」


 “赫猛”で膂力を強化し、炎を纏った拳で殴りつける。

 固い。だがこちらの骨が折れるほどの強度ではなかったようで、インパクト周辺の骨を砕くことはできた。


「――ッ!?」


 骨に呑まれた。

 そう表現するしかない状況に陥ってしまった。俺が骨を砕いた瞬間、骨の進む速度が急速に上がり、俺の身体を呑み込んで、地上の方へと向かっている。骨内部はかなりの圧力で、全身気張っていないと、今にも押し潰されてしまいそうだ。


 全身が押さえつけられているせいで、破壊することも叶わない。どうにかして動けるようにして、骨が生み出される傍から破壊するしかないだろう。


「……」


 全身を気張るのを維持したまま、全身の熱を溜める。

 左腕が戻って来たことで、発声させられる熱量も上がっているはずだ。この全熱を以てすれば、骨を破壊できる。先刻の打撃から、そんな確信があった。


「ふぅ……」


 熱の出力が乱れないように、一度呼吸を整えた。

 そして全熱を以て、骨を破壊しに掛かる。全身から噴き出す炎は、骨の壁に弾き返されて、自分へと返ってくるが、特にダメージは喰らわない。骨は段々と脆く、砕けていき、外界への道を開かんとしていく。


「開いた!」


 外からの光が見えた瞬間、俺は全身をバネのように使って、外へと身体を押す。炎を一点に放出した弊害で、身体の大半が骨によって動きを止められていた。だから脱出するのにも体力をかなり持っていかれてしまったが、最終的に脱出することは叶えられた。


「はぁはぁ……“火拳”」


 脱出はできたものの、未だに骨は成長を続けて、俺の身体を呑み込もうとしている。ヒトから脱したと言っても、空中での自由はほぼないに等しい。


 だから炎のエネルギーと殴るエネルギーで、自分の身体に推進力を加える。地上での移動に比べれば、エネルギーのロスはかなり大きいだろうが、こうでもしなければ骨から逃れることはできなさそうなので、仕方のない、必要なロスのはずだ。


「はぁはぁ、なんとか戻って来れた」


 骨の追撃から逃れ、地面に着地した瞬間に、凜々花たちの元へと戻った。そこにはまだ骨が到達していないらしく、遠距離攻撃で骨の妨害をしている凜々花や麗華、従魔たちの姿がある。


「悟、大丈夫だったか?」


「ああ、なんとかな。骨は逝っていないだろうけど、所々筋肉が痛むな」


「じゃあ大丈夫だな」


 筋肉が痛むと言ったにも拘らず、凜々花は身体を叩いてきた。それも軽くではなく、そこそこの威力で叩いて来ている。やはり以前の暴力的な凜々花のことを思い出す。


 暴力的な凜々花と一緒に行動していたのは、ゴン太をテイムして冒険者になった最初のとても短い期間だったけど、懐かしさを覚える程度には記憶に残っている。


「悟、私は人の癖にどうこう言うつもりはないけど、叩かれて笑わないでくれ。今後接触しにくいだろう」


「違うからな! 俺は断じてドMなんかじゃないから!!」


 必死の弁解も届かず、凜々花は俺から距離を取った。

 弁明を続けようと思ったが、そんなこと言っていられなくなった。



スケルトン空母。

兵士たちや指揮官。


これは新日本国の存続を掛けた戦争である。


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