表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
270/295

第271話 デジャブ

 全力の跳躍は、飛竜の背中へと俺を運んだ。

 その勢いのまま、風と水のエネルギーの塊を、飛竜の背中へと叩きつけた。砕ける鱗。だがその下に隠れていた強靭な筋肉に拒まれ、大したダメージは与えられていないように思えた。


「チッ、ここまでか……いや、十分だ」


 【六道】の代償が解けた。

 右手に炎を纏い、飛竜の鱗が禿げた部分へと、全力で叩きつける。強靭な肉が拳を拒もうとしてくるが、圧倒的な熱は肉を固くするのではなく溶かし、その強度を一気に下げた。

 何秒かの時が経ち、俺の拳は強靭な筋肉を貫いた。

 

「グラァァァァ!!」


 耳をつんざくような絶叫に、どうにかして耳を塞ぎたくなった。だが右腕は飛竜の背中へと突き刺さっていて、左腕に関してはそもそも存在していないせいで、鼓膜が逝ってしまった。まあ他の怪我を負うことなく、数十秒くらい経過すれば治るだろうから、そこまで気にする必要はないんだが……。


「――」


 背中側にあった氷球が正面へと移動した。

 そして天井に開いた穴から麗華が顔を出し、何かを言っている。だが鼓膜が逝っているせいで、何を言っているのかが分からない。


 こんな時に読唇術があればいいのだが、そんな高等技術は有していないので、鼓膜が治るまで麗華が何を言っているのかが分からない。表情から読み取れるのは、理由は分からないが切羽詰まっているということだけだ。


「――ッ!?」


 吹き飛ばされた。

 まず確認したのは、右腕だ。同じように、理解できない吹き飛ばされ方をした際に、左腕を失っているのだから、当たり前の行動だろう。


 幸い、右腕はあった。軽く拳を握ってみたが、特に変化はない。

 吹き飛ばされたということは、再び落下しているということだ。まあ【六道】の代償は解け、“天道”を使って飛行できるため、そこまで危ない状況ではないんだが、視界の先に映っている存在が、少々問題だ。


「飛竜が二体……つがいってことか」


 俺の攻撃によって、背中の鱗が禿げている飛竜に加えて、一回り程大きい飛竜が飛んでいる。あれは雄なのか、雌なのか、そもそも魔物に雌雄の差が存在しているのか、あれの関係については何も分からないが、ただ一つだけ分かることがある。あの大きい方は、小さい方に比べて強いということだ。


「まずは着地をどうするか……」


 飛竜が二体に増えたことよりも、俺は落下途中だという方が問題だ。

 この状況で追撃を喰らえば、【六道】の“天道”を使わざるを得ない。そうなれば、今後の戦闘に大きな影響を齎すだろう。


 もし追撃に来なかったとしても、狙いが氷球に移ることになるため、これまたマズイ事態だ。麗華やたぬ吉たちが乗っているとはいえ、麗華の意識は氷球にあり、従魔たちはあの鱗と言う名の鎧を剥がせるだけの火力はない。悟空の拳だけ鱗を砕ける可能性はあるが、接近できない以上は不可能と同義だ。


 まあ結局、どうにかして氷球の元へと戻らないといけないってことだ。デジャブ……としか思えないが、まだ間に合うはずだ。先刻とは違い、一時的に失っているのは視覚ではなく聴覚、直ぐに【六道】の“天道”を使えば戻れる。


「“天道”」


 重力によって地面へと押し付けられていた身体が、ふわりと軽くなった。上昇ではなく、横軸方向の移動にエネルギーを注ぎ、飛竜の元へと移動する。


「かはっ――」


 やはり吐血してしまうが、何度やっても口から血が出て来るのには慣れないな。思わず口を押えてしまう。


「慣れないとな。ただでさえ腕が一つしかないんだから、口元を押さえるのに使っていたら勿体ない」


 全身を影が覆った。

 見上げる。そこには二体の飛竜と氷球がある。


 飛竜は口から炎を飛ばし、氷球を焼き尽くそうとしている。表面は溶けているように見えるが、サイズはそこまで小さくなっていないように見えた。


 間に合った……で大丈夫そうだな。

 腕を赤く染める。これは炎ではなく、“赫猛”によるものだ。


「まずは小さい方だ」


 一気に上昇する。

 “天道”の効果が尽きそうになっているのが分かるが、ここだけは持ってほしい。拳を突き上げた状態で、小さい飛竜の方へと突っ込んだ。


 真下からの急襲は、飛竜でも感知が遅れたのだろう。

 飛竜が鳴き声をあげたのは、俺の拳が飛竜の腹部に到達してからだ。


「やはり腹部は柔かった」


 確かなダメージは与えられたが、腹部に穴を開けたわけではない。

 ただ強力なパンチをお見舞いし、筋肉や内臓にダメージを与えたに過ぎない。そのため未だ飛竜は二体とも健在だ。


「“人間道”」


 “天道”の力が解ける瞬間、六道の効果を“人間道”へと変えた。

 “天道”に内包された権能は、飛行、重力、陽光の三つに対し、人間道に内包された権能は、その名にある“人間”に相応しい能力だ。



 【六道】

・天 道……飛行、重力、陽光

・人間道……???


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ