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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第266話 手掛かり

「……もし凜々花たちが生きていたとしても、居場所が分からない」


 麗華の言ったことが、凜々花たちを探し出す上で、最も障壁となる点だ。俺たちをバラバラに飛ばしたのは【豊臣】で、その先が何処なのかを知っているのは、豊臣側の者だけだろう。


「そうなんだよな……目的の人物の居場所が分かるような人が居れば良いんだが、そう上手いこと行くわけないからな……」


「これだけの国民が居るんだ、そう悲観的でいる必要もないだろう。分母が多ければ、発現するスキルの多様性も増えるはずだ」


 麗華が口にしたことが正論であるように、江梨子が口にしたスキルの多様性の話もまた、正論だった。


「取り敢えずは、ダンジョン協会の職員探しに並行して、適したスキルの持ち主を探すしかないだろうな」


「まあ運が良ければ見つかるし、悪ければ見つからない……結局は運次第と言ったところだな」


 ダンジョン協会についての話し合いは、一先ず決着となった。

 国家運営の骨組みはできたが、まだまだ肉付けは足りていない。京都への遠征や、凜々花の奪還はまだ先……仕方ないことだが、気持ち的にはかなり残念だ。


「ギルド職員として立候補した人が、下の大広間に集まっているんだろ?」


「ええ、最初は会議室に集めるつもりだったけど、想定よりも数が多かったから、大広間に集まってもらった」


「……じゃあ行くとしよう」


 麗華と江梨子、従魔たちを引き連れて階段を降りる。

 美女と美少女、強力な従魔を引き連れている姿は、まさに王様といった様子のはずだ。カメラがなくて記録に残せないのは残念だが、この姿は俺の心の中に残る。


「じゃあ開けてくれ」


「……分かった」


「ああ」


 大広間に繋がる巨大な扉を、麗華と江梨子が開く。

 新築のはずだが、ギギギという古そうな音を立てながら、扉は開かれた。


「悟王だ!!」


 誰かの声をきっかけに、人々の声が大広間に反響する。

 その声は好感の気持ちが大半を占めているが、一部は批判の声もあった。まあ国民全員に好かれる統治者なんて存在しないだろうし、アンチが居るのは仕方のないことだろう。


「ここに居る君たちには、王国領に存在する、または周囲に存在するダンジョンの管理を担当する、ダンジョン協会の職員として素質がある者は働いてもらう。素質がない者も、その意欲を汲んで、適材適所の仕事を斡旋する」


「「「……ウォォォォ!!!」」」


 一瞬の静寂から、割れんばかり歓声。

 こんな世でも、職の安定は大きいんだろう。問題があるとすれば、貨幣経済を作れるだけの信頼が、俺たちにはないというところか。今の俺たちでは信頼が足りないから、貨幣を導入するには何らかの担保が必要だ。


「窪田悟」


 そんな歓声の中、とても通りの良い声で、俺の名前が呼ばれた。

 王である俺の名を呼び捨てで呼ぶのは、とても目立った。人々の歓声が止み、その声の主へと視線が集中する。


「貴方は……」


「お前は、どうして凜々花を助けに行かない!!!」


 その声の主を、俺は良く知っている。

 俺がゴン太たちと出会った【キャンプ山ダンジョン】に最も近いギルド、そこのギルド長を務めていた男だ。


「……凜々花は京都で、一人寂しい思いをしているのに、同じパーティーのお前が助けに行かなくて、誰が行くんだよ!!!」


「場所が分からない以上は……京都だと?」


 ギルド長がどうして凜々花の居場所を知っているのかは分からない。

 だが幸運にもまいちゃんと同じ京都だ。目的が二つに増えた今、優先順位が上がった。それは国家の肉付けよりも上位に来たという意味だ。


「……麗華と江梨子で職員の適性を確かめておいてくれ。俺は彼と話をする。来い」


 ギルド長と共に扉を潜る。

 そして誰も入って来れないように、扉を閉めた。


「ギルド長、俺たちも凜々花を救いたい気持ちはあった。だがその居場所が分からなくて、助けに行こうにも行けなかった。だが貴方は凜々花の居場所は京都だと言った。それは確実性のある話なのか?」


「勿論だ! 俺のスキル【サーチ】は、触れたことのある人であれば、居場所をいつでも探ることができる能力だ」


「スキルの力か……それは確実そうだな。であれば、国家運営の基礎ができ次第、京都へと向かう。それでいいよな、お義父さん」


「お前にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!!」


「確かに今はそうだな。凜々花を救出次第、今後について話すとしよう」


「認めん、認めんからなぁ!」


 この人は優秀だ。

 あの暴走時代の凜々花を、冒険者として手綱を握れていた。相当な能力がなければ、あのじゃじゃ馬凜々花を御すことなんて不可能だったはずだ。


「ここからは窪田悟としてではなく、この国の王としての話だ」


「――ええ、何でしょうか」


 やはり優秀だな。

 公私の切り替えが速い。力と事務力が求められるギルド職員には、うってつけの能力だ。


「この国の地下に、ダンジョンがあることは知っているか?」


「いえ、存じ上げないです」


「地下にダンジョンがあるわけだが、そこにギルドの支部を作るつもりだ」


「つまりそこのギルドを、私に任せたいと」


「その通りだ」


「……王命、謹んでお受けいたします」


「頼んだぞ、徳川広忠」



徳川凜々花の父親、徳川広忠。

分かる人は分かると思いますが、名前のモチーフは松平広忠です。


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