表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
256/297

第257話 失ったもの

 移動の際に炎を使ったように、俺は既に【六道】の反動から脱し、ゴン太由来の力を使うことができた。

 掴まれている足を中心に、全身から炎を吹き出すことによって、レオンの拘束から逃れた。地面に足を付けると、片足の関節が外れているせいで、違和感が凄い。


 そんな違和感から脱するために、自分で足を掴んで、股の方へと押し付けた。痛みが走るが、これまでに経験した痛みと比べてしまえば、全く痛くないと評することができる程度の痛みだ。


「俺の炎は効くか?」


「何度言えば分かる……いや、お前に何度言おうが理解しないだろうな。バカ相手に正論を語ったところで、理解できないからこそのバカなのだからな」


「確かに、俺はバカかもしれないな」


 これでレオンの意識は完全にこちらへと向いた。

 奴の中で江梨子という存在は、頭の片隅に置かれたのだろう。あとは江梨子が壁を破壊するまでの間、俺が耐えれば良いだけになったな。


「バカを理解させるのに、一番最適なものとは、なんだか分かるか?」


「暴力だろ。言葉で理解できないのであれば、力に頼らざるを得ない。法が残っていれば許されないだろうが、ここではお前が法なんだろ」


「そうだ。この要塞内において、躾のための暴力は正義だ」


「確かにこの要塞内は、王であるレオンの法に従わないといけないな。でも世界規模で考えた時、強者だけが唯一の正義となった。それは二回の大戦以前のようにな」


「ふっ、お前が強者であると言いたいのか?」


「別に、自分のことを最強と呼べるほど、自信過剰じゃねぇよ。でもお前が最強だとも思ってねぇけどな」


「では思わせてやろう」


 姿が消えた。

 だが今までとは違い、動き出しは見えた。まだ最高速度を追うことはできないが、動き出しを見切ることができれば、ある程度の予測を立てることはできる。


 拳が合わさった。正面からのぶつけ合い。勝敗を決めるのは、とてもシンプルで、膂力だ。とても泥臭い、膂力のぶつけ合い。傍から見たら面白みのない戦いのはずだ。しかしこちらとしては本気のぶつかり合いであり、長かったレオンとの戦いも終幕に近付いている、こんな条件下でつまらないはずがなかった。


「なぜ吹き飛ばない」


「なんでだろうな」


 拳を合わせたまま、前蹴りを放つ。

 急な前蹴りはレオンの不意を突けたようで、防御されることなく腹部にクリティカルヒットした――と言っても大したダメージは与えられていないだろうが、流れを掴むには十分な攻撃だ。


 吹き飛ぶレオンは、地面に数回叩きつけられながら、その勢いを削って行った。既に周囲の建物は崩れ去っており、勢いを殺すものは地面しか存在していない。

 だからこれまでよりも吹き飛んでから、自由に動けるまでに時間が掛かっていた。時間が掛かると言っても、数秒の差でしかないのだが、この戦いにおける数秒は、大きな猶予となる。


 追撃を仕掛けるため、一気に加速する。【シンクロ】で借りる“赫猛”による肉体の強化に加え、背中から炎を放出することで、これまで以上の加速を実現させた。


 見えた。四度目のバウンドを迎えるレオンの姿、そのスピードは全盛期に比べればかなり落ちているが、まだ身動きを取るのは難しいスピードのはずだ。


「“火拳”」


 地面を跳ねながら進むレオンの先回りをして、“赫猛”状態で、炎を纏った拳を振り下ろした。拳はレオンの頭部を捉え、地面に巨大なクレーターを作り上げる。

 

 地面に仰向けで転がるレオンは、こちらを睨みつけている。殆どダメージはないんだろうな。コイツが王である限り、いくら優勢であろうと勝てないなんて、本当に嫌になる。


「そのまま地面に埋まれ」


 足を上げ、思いっきり踏みつける。

 地震が来たのかと錯覚してしまうほど、大きく地が揺れた。だが手応え、ここで言うなら足応えとでも言うのか、学がないため分からないが、とにかくレオンに攻撃が当たった感触はなかった。


 舞っていた砂埃も落ち着き、さらに深くなったクレーターの全貌が明らかになる。そこにレオンの姿はない。分かっていたことだが、残念な気持ちは捨てきれないな。


「王を踏みつけようとするとは、なんて不敬な奴だ」


「今に始まったことじゃないだろ」


 背中側から突き出された拳を避けながら、その腕を掴む。そのまま背中を使って、地面に叩きつけようとする。名の通り背負い投げだ。


「……」


 叩きつけられたレオンと目が合う。

 その表情はとてもつまらなさそうで、苛立ちも感じられた。


「もういいだろう。諦めろ」


「――ッ!?」


 気付いた時には、レオンから離されており、左腕が消失していた。

 魔物としての再生能力では、四肢の欠損は治らない。この腕を治すには、まいちゃんのことを探すか、日本の聖女と呼ばれていたまいちゃんに匹敵する回復能力を持つ者を探さなければならない。


 そもそもここを生き延びることすら、危うくなっている。片腕を失った状態での足止めは非常に難しく、レオンははこちらへの興味を失っていて、江梨子の方へと向かうだろう。


「今度こそ、そこで見ていろ」


 江梨子の方へと向かうレオン。

 その背中を見ていることしかできなかった。



左腕の欠損、どうするのか!?


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ