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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第235話 合流

 リッチとの戦いを終えた俺たちは、たぬ吉たちとの合流を目指して、ダンジョンの奥へ奥へと進んでいた。

 その際の魔物とのエンカウントは、崖下にいたリッチを除いて、一体とも起こらなかった。やはりダンジョン外で接敵した魔物たちは、先刻のリッチによって生み出されたのだろう。


「――」


「どうした、江梨子」


 一歩前を歩いていた江梨子が、急に立ち止まった。

 しっかり前を向いていたため、背中にぶつかることはなかったが、急に止まったことに対して驚きはした。


「悟にとって一番の朗報と言って良いだろう」


「――ッ!」


「想像している通り、たぬ吉たちの姿を確認した。もう少し先にはなるが、その間に魔物の姿は確認できないから、直ぐに辿り着けるはずだ」


「そうか」


 口では冷静を気取っているが、逸る気持ちが歩くスピードに現れてしまっている。先刻までは江梨子の後ろを歩くことに対して、全く不満はなかったというのに、たぬ吉たちを発見したと聞いてからは、江梨子の数歩先を進んでいた。


「悟、逸る気持ちは分かるが、急いでも良いことはないぞ」


「道中に魔物は居ないんだろ。なら急いだところで、たぬ吉たちと早く合流できる、ってメリットしかないはずだ」


「……私の探知能力は、探知に特化した力には遠く及ばない。実体を持たない霊体系魔物や、自然に溶け込んでいる場合、発見することはできないから、信用し過ぎるべきではないぞ」


「……それでもだ。そもそも警戒していないわけじゃない。ある程度の魔物であれば、このペースで走っていても、迎撃できる。今の俺にはその自信がある」


「ふっ、ならば私が言うことはないだろう――」


 江梨子が後ろで何か言っているような気がしたが、たぬ吉たちに早く会いたいがあまり、最後まで話を聞かずに、走り抜けてしまった。

 そしてその時がやって来た――


「たぬ吉、タマ、亀之助、悟空、竜馬!!」


 急に現れた窪み。

 覗き込むと共に、大きな声を出してしまう。


「ポン!」


「ニャン!」


「カメ!」


「ゴリ!」


「ヒヒン!」


「……私も居るんだけど」


 そこに居たのは、汚れによって輝いていたはずの体毛や甲羅を失っている従魔たちと、皇居潜入前に出会った襲い掛かって来た女だ。

 だが日焼けの歴を感じさせなかった白い肌は、ダンジョンでの潜伏によって付けられたであろう汚れによって、茶色く染まっている。その姿にか弱さを感じる人はいないだろう。


「お前も生き残ったのか」


「なによ、その言いぶり。まるで死んで欲しかったみたいじゃない!」


「そこまで酷いことは言ってねぇよ。でもウチの子たちとの感動の再会を邪魔するんじゃねぇ、とは言いたいな」


「もう言ってるじゃない!」


 このままズルズルと話していると、こいつのペースに持っていかれてしまうと思い、無視するかのように、無理矢理目線をたぬ吉たちの方へと移した。


 俺と女の会話を見ている従魔たちの瞳は、ウルウルと今にも涙が零れ落ちそうになっている。少なくとも、俺の目にはそう映っていた。


「よく生き残ってくれた!」


「――」


 たぬ吉たちのことを抱き寄せる。

 臭いも汚れもすごいのだろうが、一切気にならない。合流できたことに対する喜びが、臭いも汚れも頭から追い出してくれているのだろう。


 たぬ吉たち体毛を持つ従魔たちの毛は、今までのようなフワフワ感はなく、今あるのはゴワゴワとした固い毛だが、これだけでも満足できる。

 そして唯一体毛を持たない亀之助の甲羅は、擦るたびに汚れが手に付き、地面へと落ちているが、このザラザラしつつ、スベスベ感のある甲羅を撫でられるだけで満足だ。


 撫で始めてからどれくらいの時が経ったのだろうか?

 当事者だから詳しい時間は分からないが、多分一分くらいは撫で続けていたはずだ。


 立ち上がり、振り返る。そこに居る江梨子と女は、酷く引いているような目をしていた。


「どうしたんだ?」


「ドン引きなんですけど」


「悟、従魔たちが家族同然だということは、私にも理解できるが、一時間もの間撫で続けるのは、流石にどうかと思うぞ」


「いちじかん?」


 その言葉の意味が理解できなかった。だがそれも一瞬で、俺は一時間という長時間もの間、たぬ吉たちのことを撫で回し続けたということを理解した。

 でもたぬ吉たちはぐったりするどころか、ツヤツヤとしているので、満足しているのだろう。


「まあたぬ吉たちは満足しているようだし、いい時間を過ごせた」


「……はぁ、まあいいよ。メインであるレオン政権との戦いが控えているのに変わりはないんだ。急いで帰還するとしよう」


「……江梨子、後退よりも進んで、ボスを攻略した方が良いんじゃないか?」


「確かにそうだな。戦いの前に身体を慣らす意味でも、ボスは攻略しておくべきだな」


「えっ、まだ進むの?」


「……置いて行ってもいいんだぞ」


「ご、ごめんさぁい!」



たぬ吉たちと合流した悟たち一行。

次に目指すのはボスの討伐!


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