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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第226話 江梨子を洗う

「ふっ」


 だいぶ汚れは落ちた。

 臭いは結構残ってしまっているが、先刻までの鼻が曲がりそうになる激臭は取れたため、まあ及第点と言ったところか。


 洗う前も思ったが、酷い傷だな。全身に刻まれた傷が、痛々しい主張をしている。


「……江梨子、なんか服とかあるか?」


「分かった」


 風に乗って、服が飛んできた。

 聞いておいてなんだが、収監される際に没収されたりしなかったのか? きっと俺の知らないスキルで隠し通したのだろう。味方の力を無理に探るつもりはないから、これ以上考察することもあるまい。


「ほら、これを来てくれ」


「……」


 江梨子から受け取った服を、ロジャースに手渡すと、直ぐに着始めたのだが……。


「パツパツだな」


「……」


 滅茶苦茶パッツパツだった。

 ゴリゴリの営業が着ているスーツ以上、表現するのであれば、ボディービルダーがスーツを着ているかのように、短時間でも激しく動けば、弾け飛んでしまう。そんな想像が容易にできるほど、ロジャースが着ている服はパツパツだった。


「次は江梨子のをやるから、ロジャースは見張りを頼む」


「……」


 やっぱりロジャースは首肯でしか反応を返して来ない。

 まあ慣れたから、そこまで気にはしない。言葉を発しないのにも、何から理由があるかもしれない。例えば、スキルが声をキーとして発動するもの、だとかな。


「じゃあ頼むよ、悟」


「ああ、じゃあその布切れを脱いでくれ」


「分かった」


 男の前だというのに、江梨子はあっさりと全裸になった。

 かくいう俺も、女性の全裸を前にしているのに、一切の性的感情を抱いていない。俺たちはそういうことを気にするような関係性ではない、というのもあるにはあるが、一番の問題は、幼過ぎる身体つきだ。


「どうした、私の身体をじっと見つめて……もしかして私の美ボデェに見惚れてしまったか?」


 的外れな解釈で、モデルのようなポーズを始める江梨子。

 ただでさえ幼過ぎる身体つきなのに、キレイな白い肌も汚れで見えなくなっているため、ポーズを取っている江梨子は、滑稽としか表現のしようがなかった。ただ、それを口にしてしまえば、江梨子に嫌われてしまう可能性が大なので、なんとか誤魔化す必要がある。


「そ、そうだ。江梨子の身体が美しかったから、見つめちまった」


「気を付けてくれよ。悟ではなかったら、身体、特にあそこを重点的に刻んでいたからな」


 表情一つ変えることなく、非常に怖いことを言ってきた。

 自分に対して言われたわけではないにも拘らず、あそこがヒュンと縮こまってしまう。


「ああ、安心してくれ。悟であれば、いくら見られようと、刻むことはないから。なんたって、あんなことやこんなことをやった仲なのだからな」


「……ああ、そうだな」


 それに関して、俺が何かを言うことはない。

 何かを変に口走ってしまえば、犯罪者を見るような目で見られるようになってしまうだろう……実際は、江梨子も立派な大人なので、犯罪を犯したわけではないが、周囲の目は痛くなるのは確実だ。


「……じゃあ洗っていくぞ」


「ああ、頼む」


 ロジャースの時と同じように、亀之助の水を生み出す力と、自分の炎の力を合わせて、丁度良い温度のお湯を作り出し、江梨子の頭からぶっかける。


 そして全身の汚れを擦り落とすように、お湯をブン回していく。

 

「あぁぁいいなぁ」


 嬌声ともとれる声に、顔をしかめてしまう。

 かなり大きな声を出しているので、少し離れたところに居るロジャースの耳にも届いているだろう。変なことをしているわけでもないのに、次に顔を合わせた時、絶対に気まずくなる。


「おい、変な声を出すなよ」


「変な声? 私は至って普通の声しか出していないぞ? んっ」


「最後のそれを変な声と言っているんだ」


「気持ちいいから、声が出てしまうのは、人として仕方のないことだろう」


「言い方も悪い! とにかく、変な声を出すのは止めてくれ」


 こちらが加減をすればいいだけなのだが、江梨子の身体にこびりついている汚れは、ロジャース以上に頑固で、力強くやらなければ、汚れも臭いも落とせないのだ。


 つまり汚れを落とすためには、江梨子の嬌声を思わせる声を、許容しなければならない。逆に嬌声のような声を我慢できないのであれば、汚れを落とせないレベルまで水圧を下げる必要がある。これだとこの湯浴みの意義が消え去ってしまうため、前者を選ばざるを得ないのだ。


「んっ、ぁっ」


「――」


 ダメだ。 

 いくら江梨子相手とは言っても、頭に煩悩が湧き出て来る。

 手を出すような真似は絶対にしないと断言できるが、今後の判断が鈍る可能性がある。どこかで発散しなければ……


「――る――とる――さとる!」


「――な、なんだ?」


「んっ、もう、やめっ」


「す、済まない!」


 思考の海に潜っていたせいで、お湯の制御が暴走していたようだ。

 そのせいで江梨子は誤魔化しようのない嬌声を出してしまい、ロジャースに対する言い訳が、さらに難しくなってしまった。



江梨子は成人しています。子供ではありません。

江梨子は成人しています。子供ではありません。

江梨子は成人しています。子供ではありません。


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