表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
221/295

第221話 燃えるとうそう

 下種野郎どもの背中を追っているが、いつ振り返るかは分からず、一本分曲がり角を挟むしかないため、かなり離されてしまっている。


「……」


 何処が目的地なのか。

 江梨子たちが収監されている場所を目指しているのであれば、かなり好都合な展開だが、現実はそう甘くないだろう。


「――ッ!?」


 反射的に裏拳を放つ。

 当然、拳は空振った。なぜ裏拳を放ったのか、自分でも分からない。だが身体が動いたということは、何かそこに居たのは確かだろう。


「おい、誰だてめぇ!」


「チッ」


 あまりに速い裏拳によって、風を切る音が鳴ってしまった。

 それに気付いた前を歩いていた下種野郎たちに、俺の存在を認識されてしまった。


「――」


 顎を狙い、拳を振り抜く。一人の意識は刈り取れた。だがもう一人は間に合わない。

 意識が残っている方の男が、首から下げているホイッスルに口を付ける。そして思いっきり息を吸い、全力で吐いた。

 ――ピッー!!!


「――」


 もう一発のパンチで意識は刈り取ったが、侵入がバレてしまった。 

 こうなってしまえば、隠れている意味はない。江梨子を探し出すことに、全力を注ごう。


「あいつだ!」


「かなり早いな」


 笛の音を聞いてやってきた、複数の看守が道を塞いでいる。

 肌で感じるものが、こいつらは強者ではないと言っているため、このまま押し通るのが最適解だ。


「【シンクロ】」


 “赫猛”を使い、男たちの下へと駆ける。

 そのまま突っ込んでくるとは、誰も思っていなかったのだろう。迫り来る俺に対して、男どもは狼狽しているだけだ。


「はぁぁッ!!」


 シンプルに拳を振り抜く。

 炎を纏えば、もっと簡単に倒せるんだろうが、今後戦いが続くことを考えると、こんな相手に消耗するわけにはいかない。


「はぁはぁ」


 追加で増えたこともあり、殲滅するのに五分も掛かってしまった。

 戦場における五分は短いのかもしれないが、敵地での五分は命取り。聞こえて来る敵の増援の音に、かなり気が滅入る。


 追手のことは走りながら考えればいい。とにかく足を動かして、江梨子のことを見つけさえすれば、この圧倒的なアウェイな場所でも、勝利を掴むことができるだろう。


 そんな希望を探し出すため、敵しかいない監獄を走り回る。

 自分が出るまでもないと舐めているのか、何か出て来れない理由があるのか、どちらにしてもブルーノとやらが出て来ないのは、俺にとってかなりの幸運だ。


「お前が侵入者だな!」


「邪魔すんな!」


 進行方向を敵が塞いでいる。

 背中から聞こえて来る追手の声に、判断が鈍りそうになるが、絶対に“火拳”は使わない。その覚悟の下、俺が使ったのは何時ものように【シンクロ】だ。借りた力は“赫猛”であり、近接戦でゴリ押す。


「どけェ!」


 パンチが一人の男を吹き飛ばす。生死は分からないが、少なくとも意識は刈り取れたはずだ。

 あとは二人。こちらに掌を向けている男と、槍の先端を向けている女。先に取るべきなのは、男の方だ。それがどんな攻撃であれ、遠距離攻撃持ちを後に残しておくと、厄介なことになる。


「チッ、近距離もそこそこできるのか」


 全力で拳を振り抜いたが、顔を反らされてしまった。

 俺に残ったのは、敵に隙だらけの胴体を晒しているという現状のみ。男の掌にできた火の球もそうだが、向けられていた槍の先端も、俺の命を刈り取らんと近付いて来ている。


 世界がゆっくりと進む。俺という存在が拒んでいるのだろう。命を散らすという、最期の瞬間を。であれば、何が何でも切り抜けなければならない。


「――」


 火達磨になった。

 敵ではない。俺が、火達磨になった。


 放たれた火の玉を呑み込み、向けられた槍を溶かす。それだけの熱に包まれていながら、俺は一切の熱を感じていない。これは身体の変化によって齎された炎の力を、全身から放出しているに過ぎず、拳に炎を纏うのと違って、これは汗と同じで殆ど体力を消耗せずに済む。


「ふぅ」


 火は邪魔した男女を巻き込んだところで、完全に鎮火した。

 これは内部にため込んだエネルギーを放出することで、ようやく使うことができる力なため、連続使用はできないだろう。まあ体力の消耗を覚悟すれば、できないことはないがな。


「あいつだ!」


「チッ」


 前方を拒む者が居なくなっても、後方から追いかけて来る奴らは、畑から採れる野菜の如く湧いて出て来る。もっと距離を取って、どこかで撒きに掛からなければ、ジリ貧で捕まってしまう。


「はぁはぁ」


 走り続けている弊害で、呼吸も乱れ始めている。

 足を止めれば、直ぐに呼吸を整えられるが、そんな猶予は残されていない。俺が江梨子を救いに来たということがバレているのであれば、処刑時期が早まっても可笑しくはない。


「ここは――」


 一時間に及ぶ逃走劇の末、俺が辿り着いたのは、強力な何かが閉じ込められているとしか思えない、とても厳重な扉の前だった。



悟は新技を獲得しました。


ブックマークと★★★★★をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ