表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ORDA オルダ~蟲の住む石~  作者: ふじしー
94/107

94.帰路

「オルダ、全然共鳴しないっすね~」


 車の運転をしながら畑谷が言った。


「そんなに簡単に出会わないよ。だからこそオルダという付加価値がついて、ただのヒスイでも数十万、数百万という値段で取引されることがあるんだ」

「根音村では半径2km以内に何体もいたから感覚バグってました」


 後部座席から五十嵐が、


「そんなにいたの?」


 と聞いてきた。


「お前も行った黙光寺と庚申塔だろ。あと、星影神社と、笹嶺神社、その先の延命寺に2体」

「あ~。でも、何一つ持って帰れなかったんだろ?」

「お前が持ってたオルダはどこで見つけたんだ?」


 五十嵐は自分のカバンをポンポンと叩いて「これ?」言った。


「これは、浜松の川で見つけた」

「浜松?」

「ヒスイが見つかってるって話聞いて、ついでだから村に行く前に寄ってみたらあった」

「畑谷行く?」

「行ってもいいっす。東名の入口ありましたよね、浜松」

「残念ながらオルダはこれだけ。他にもあったら、俺が採ってる」

「つまんないっすね~」


 結局、高速道路までの一般道でオルダの共鳴は聞けなかった。

 畑谷は料金所のETCを抜けながら、


「俺、ノーギャラってことっすか?」


 と不服そうに言った。

 畑谷の後ろに座っている五十嵐は、畑谷を覗き込むようにして訊いた。


「え、今回のギャラはオルダだったの?」

「そういう契約しちゃったんすよね。調査中に見つかったオルダは全部もらえる」

「で、見つからなかったのか」

「そういうことっす。一個はあるんすけど、戸塚さん曰く価値は低そうらしくて」


 そこでオレは答えた。


「東京まではまだまだある。オルダは意外なところで見つかるもんだ」


 オレの答えに、五十嵐がのっけた。


「ビックリする場所にあったりするよ」

「そうなんすか?」

「リサイクルショップとか」


 五十嵐の回答に畑谷が不満そうに言った。


「それは戸塚さんから最初に言われました」

「手っ取り早いのはそこだもんなあ」

「俺、リサイクルショップ経営してるんす。で、うちにオルダがあるのは確定してるんす」

「まーじー? じゃあ、店にあるオルダをオークションかければ?」

「それは戸塚さんと約束済みっす」

「そうなんだ。あれ? オークション今日じゃね?」


 五十嵐に言われて気が付いた。


「ああ、今日は10日か。畑谷君は今日のオークションに参加したい?」

「え、今日っすか?」

「今日。次は来月の10日」

「まーじっすか。じゃあ、今日参加するっす」

「OK、オーナーに連絡する」


 オレはオーナーに電話を入れた。まだオーナーの仕事前だから出ないかなとも思ったが、出た。


『はいはい』

「あ、オーナー?」

『どうした?』

「今日、出品したいんだが」

『根音村で見つかったのか?』

「根音村では見つかってない」

『何体?』

「何体になるかは不明だが、とりあえず枠よろしく」


 そこで五十嵐が、


「スピーカーにして」


 と声をかけてきた。

 オレは携帯をスピーカーにした。


「オーナー?」


 五十嵐が話しかけると、オーナーは驚いた声で言った。


『イガちゃんも一緒なのか?』

「オレの分も1枠取っといて」

『了解』

「あと、今回の調査で経費100万近くかかったんだ。後で請求するよ」

『は?』

「3か月入院する羽目になったんだよ。それくらい負担しても罰は当たらないと思うぜ。あと、オーナーのとこで俺雇って」

『は?』


 オーナーから二度目の「は?」が出た。

 たしかに電話だけならそういう反応になるだろう。


「俺、片目失って、もうオルダハンターできねえの」

『…あとで話をしよう』

「頼むよ」

『何時に来る?』


 五十嵐は「何時かな?」とオレに話しかけた。


「分からん」


 オレの答えが聞こえたようで、オーナーは言ってきた。


『18時半までには来い』

「分かった」


 オレは答え、電話を切った。


「じゃあ、行先俺の店にするっすよ」

「それでお願い」


 オレが頼むと、五十嵐が口を挟んだ。


「ごめん、まずは俺の家行ってもらっていい? 鍵を確かめたい」

「家どこっすか?」

「川崎」


 オレたちは海老名SAで昼食を取り、カーナビを五十嵐の家にセットし、再出発した。

 まもなく五十嵐の家に到着し、鍵が変えられていないことは確認できたが、ポストの中に内容証明が押し込まれていたらしく、慌てて不動産屋の口座に振り込んでいた。

 その後、オレたちは畑谷の店に向かった。


「まもなくウチの店っす」


 1~2分でオルダの共鳴が始まった。


「オルダ鳴きはじめたっすね」

「キタな」

「これがウチの店っす」


 畑谷は目の前に現れた『リサイクルショップくれよん』の前に車を停めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ