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ORDA オルダ~蟲の住む石~  作者: ふじしー
91/107

91.教育委員会

 朝食を済ませ、医者と看護師と共にオレたちは一階に降りていった。


「そんなに時間はかからないと思うので、午前中には診療所に戻って、昼に村を発とうと思います」


 医者と看護師に伝えると、


「分かりました」


 医者は頷いた後、オレの左隣を見た。


「くれぐれも無理しないように」

「了解でーす」


 答えたのは五十嵐だ。オレの余っていたスエットを着て、眼帯をして、目の調子が悪くて会社休んで家でダラダラ過ごしている人という見た目である。まだ不完全ではあるが、昨日よりも更に歩けるようになった五十嵐は、オレたちに同行したいと強く訴えた。どうしてもオルダの巣を確認したかったらしい。

 医者は五十嵐の訴えに対し、外を歩くのも筋力回復のためにはいいとと許可を出した。

 こうして五十嵐はオレたちに同行することになった。

 村役場に到着すると、表玄関の前で清水さんご一行が待機していた。


「おはようございます!」


 清水さんは、オレたちの車が到着するとさわやかに挨拶してきた。

 オレたちが車から降りると、五十嵐が同行していることに気づいて驚いた。


「すみません、訳あって本日同行させていただきます」


 五十嵐は清水さんに頭を下げた。


「もう歩けるんですか?」

「ギリギリ。先生からは筋力回復にいいと許可をいただき」

「そうなんですね。あ、こちら紹介します。村の教育委員会の全メンバーです。こちらが教育長の上田さん、そして委員の天野さん、川本さん、西山さんです」


 この村の教育委員会は4名で構成されているらしい。川本さんだけが男性で、他の3名は女性であり、全員年配…少なくとも50歳以上に見える。


「教育長の上田です。本日はよろしくお願いします」

「天野です。よろしくお願いします」

「川本です。よろしくお願いします」

「西山です。よろしくお願いします」


 それぞれが挨拶してきたので、オレたちも挨拶することにした。


「えっと、戸塚です。よろしくお願いします」

「畑谷です。お願いします」

「五十嵐です。よろしくお願います」


 オレたちが挨拶し終えると、一番年長者らしい上田さんが言った。


「お話は伺っています。大変なご活躍をされたようで、お会いできるのを楽しみにしていました」

「あ、どうも」

「骨の危険性やオルダについては清水から伺っていますので、触れないように気を付けますね」

「はい、よろしくお願いします」


 笹嶺神社に到着すると、五十嵐が入るのを一瞬ためらった。


「やめとくか?」


 オレが話しかけると、


「いや、行くよ」


 笹嶺神社の中に入っていく。

 社の前に到着すると、五十嵐が右下の石を指した。


「あれだよ。呪いの石」


 材質はやはり長命寺の石に近い。

 オレは清水さんに訊いた。


「オルダは鳴いていますか?」

「いいえ、何も聞こえないです」


 オレや畑谷だけではなく、清水さんのオルダも共鳴していないようだ。やはり、一度挨拶をすれば、契約者が変わっても共鳴しないのだろう。

 ここから森の中に入っていく。


「耳栓用意してきました?」


 清水さんに訊くと、清水さんはポケットから耳栓を取り出して言った。


「昨晩内船行って買ってきましたよ」

「では、行きましょうか」


 オレと畑谷を先頭に森の中に入っていく。

 教育委員会の人々が書類の入ったクリアケースとデジタルカメラ1台しか持っていないことに少々不安を覚えたが、昨晩の看護師の言葉を思い出して納得した。


『ここの教育委員会はあまり当てにならないからなあ。明日は骨埋めて終わりそう』


 看護師の予感は大方当たっていそうだ。違っているのは、彼らが軍手もスコップも持っていないということだ。骨を埋めることは無いだろう。

 オレは地面に残した記しについて清水さんや教育委員会の人々に説明しながら進んでいく。

 五十嵐は少ししんどそうにしながらも、最後尾で付いてきている。


「あ…聞こえる」


 歩きながら清水さんが言った。

 オレは立ち止まって振り返った。


「ギーーーーーーーーー―って鳴ってます。これですか?」


 清水さんが訊いてきた。


「そうっす、それっす」


 畑谷が答える。

 その会話を教育委員会の人が不思議そうに聞いている。


「耳栓装着っすね」


 畑谷がオレに言ってきた。

 オレが頷くと、畑谷と清水さんは耳栓を装着した。オレも装着した。

 最後尾の五十嵐は今合流した。


「おまえオルダの声、聞こえてる?」


 オレが訊くと、五十嵐は「いいや」と答えた。

 やはり五十嵐はオルダとの契約が完全に切れているようだ。

 奥に進めば進むほど、オルダの鳴き声は大きくなっていく。やはり普段のオルダの共鳴ではない。


「うわあ、かなり辛い」


 清水さんは耳を押さえ、顔をしかめながら言った。


「骨の近くはもっとヤバいっすよ」


 畑谷が清水さんに忠告した。

 紅葉の大木が見え、湧水の近くに到着した。


「あそこにある穴の中に千代と子のものかもしれない骨があります。隣に空いている穴が鬼虎のものかもしれない骨が入っていた穴になります」


 オレは骨に近づくのをためらったが、意を決して近づくことにした。

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