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ORDA オルダ~蟲の住む石~  作者: ふじしー
83/107

83.違和感

 住職と共に心松寺の自宅を出て、住職は道を渡って寺に戻り、オレたちは車の横に集まった。


「どう思いました?」

「どう?」

「住職はどこまで真実を言っていたと思いますか?」

「住職が嘘をついていた可能性があるということですか?」

「うーん。表情を見る限り、口に出していたことは嘘ではないと思います。だからこその違和感と言いますか、何か意図的に隠していたものがあるか、あるいは、岡田教授の行動がおかしいか」


 松井さんが答えた。


「少し違和感はありましたね」


 違和感…


「オレの思った違和感は、畑谷のオルダは元々教授と契約していたものではなく、ただ所持していたものだったのではないかということでした」


 香川さんが口の下に手をあてた。


「もしこの道を真っすぐ歩いて向かったのだとしたら、星影神社のオルダに気づいたんじゃないかということでした。畑谷が道沿いで気づいているので、もし畑谷のオルダと教授が当時契約していたのだとしたら、歩いていたなら当然気づくはず。もし、気づいたとしたら、オルダと契約している身であれば寄るはずです。しかし、岡田教授は通り過ぎている」

「そっか、もし星影神社に寄っていたとしたら、その時点で神主さんは根屋の娘さんに連絡を入れていたはずっすもんね」


 畑谷が反応した。


「そう。ということは、岡田教授は畑谷のオルダとは契約していなかった可能性がある。となると、畑谷のオルダは何故笹嶺神社で共鳴しなかったのかという話になります。てっきり岡田教授が挨拶を済ませたからだと思っていました。まあ、この村に来るときに持参していて、契約はしていないから鳴き声は聞こえないけど挨拶させておいたという可能性もありますが」

「確かにその違和感もありましたな」

「他の違和感は?」


 オレが聞くと、香川さんは畑谷を見て言った。


「オルダのノート見せてください」


 畑谷は「あ、はい」とカバンからノートを取り出して香川さんに渡した。

 香川さんは千代の家系図のページを開いた。


「このページ、以前畑谷さんに見せてもらった時に日付を見た気がしたんですよ。ほら、5月13日」

「ということは、岡田教授が村を訪れた時より前に書かれたということですね」


 オレが言うと、香川さんは頷いた。


「このページは村に来る前に書いていた。おそらく根屋の娘・平木信代から聞いた話を記したのでしょう。つまり、この村に来る前に鬼虎の話を知っていて、ここに書かれていないので確証はありませんが、笹嶺神社の話も鬼虎の話の流れで平木信代から聞いていた可能性はある」

「だから、住職から呪いの石が笹嶺神社にあると聞いて笑ったということですよね」

「教授はインターネットで心松寺を調べて訪れたと住職は言っていましたね」

「はい」

「だとしたら、当然笹嶺神社の場所も同時に調べているはずだと思いませんか? 笹嶺神社の場所を把握した状態で、あえて場所を聞いている理由のも変だ」

「確かに」

「それに、戸塚さんは、万福寺のお婆さんでしたっけ? その方から岡田教授が鬼虎の話が気になる言ったとお聞きになったんですよね」

「はい」

「笹嶺神社に行く前に寄ったのか、笹嶺神社に行った後に寄ったのか分かりませんが、鬼虎の話をそこで再確認したのでしょう。おそらく平木信代より詳しかったはずです。戸塚さんの話では、教授はその後黙光寺も寄っていたんですよね」

「はい、黙光寺の住職はそう言っていました」

「この一連の動作が、心松寺に寄った後、自宅に帰るまでの話だったとしたら、もう一度心松寺で鬼虎の話だったりを聞きたいと思いませんか? 自分の教え子の家だから聞きやすいはずです」

「確かに」

「本当に寄らずに帰ったのか…。他にも、本当にオルダについて共有されていなかったのかなど疑問は残りますが」


 香川さんは口に当てていた手を下ろした。


「この話は我々が調査する内容でもなく、真実を知ったところで何かが解決するわけでもないので、終わりにしましょうか」


 こうしてオレたちの立ち話は中断となった。

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