白熱の体育祭【試合を決める1発】
その回のC組の攻撃は、なんとか3人でピシャリと抑え、私達はホッとしたけど、2回裏、0-0で迎えたC組の攻撃。最初のバッターであるランドにメテオフォークを場外までかっ飛ばされて、先制点を奪われてしまった。
短期決戦かつランド達相手にこの1点は、かなり痛い。スランプに陥ったことがあるほどメンタルが強くないイグニスのことだから、これきっかけで乱打を浴びる可能性だって十二分にある。心配した私はマウンドに向かい、イグニスに声をかけた。
「イグニス……」
「言いてぇことはわかる。けど、大丈夫だ。こんな程度でダメになっちまうようなヤワなハートは、もう持ってねぇよ」
どうやら杞憂だったみたい。そうだよね。もうあの頃のあんたじゃないもんね。なら、私もキャッチャーとして気持ちを切り替えていかないと。
「……それならよかった。んじゃ、こっからしっかりと抑えていこ」
「おうよ!」
そう言ったあと、イグニスはその言葉を証明するように3者連続三振で、追加点を阻止した。
そして、迎えた最終回。1点でもとらないと裏を待たずして敗北が決まってしまう大事な局面。チームメートのみんなが意地を見せてくれたおかげで、2アウトランナー1、2塁となり、同点&逆転のチャンスを迎えた。ここでバッターは、さっきの打席ヒットを打った私。
(ここまで頑張ってくれたみんなのためにも、なんとか打って、点を入れないと)
そう意気込み、バッターボックスに入ると、ランドはスクッと立ち上がり、
「内野、全員バック。外野は4歩前に出ろ」
と、指示を出した。
こういう時、普通なら内野は定位置かちょい前でもいいはず。なのに、敢えて下がらせて外野との距離を詰めたってことは、『内野の頭なら越せる』と言った私の言葉を完全に意識したシフトを敷いてきたってことになる。
「うっわー……ランド。あんた性格悪いよ」
「勝つためならこれぐらいのことはせねばならん。それが勝負の世界というものだ」
正論だけに苦笑するしかない。まぁ、イグニスがあんなだから、相棒兼キャプテンとして非情な判断を下してく内に、そういう思考になってったんだろうけど。
だからこそ言わせてもらうよ。ランド、あんたはまだまだ未熟だよ。相手の言うことを鵜呑みにしてるんだから。
私はピッチャーが振りかぶったタイミングを見計らって、体内の霊気を急激に高め、
「甘いってーのっ!」
と言って、思いっきりかっ飛ばした。
打球はレフト側のフェンスを直撃するツーベースヒット。これによって2塁ランナーが生還する。
「これで同点。だよね? ランド」
「これは、してやられたな。全てはこういう時のための嘘だったというわけか」
「そういうこと。さ、舞台は整えたよ。やっちゃえイグニス!」
私の声に応えるように、ネクストバッターズサークルにいたイグニスは気合十分でバッターボックスに入った。
「まさか、あいつに裏をかかれることになるとはな」
「そんだけゆかりのことをなめてたってことだ。そういうとこは昔っから頭が固ぇんだよ。お前は」
「ふっ、抜かすな」
そう言ってランドが構えた後、C組のピッチャーは投球し、1ストライク2ボールとなった。
イグニスの長打力をよく知るだけに、これ以上の失点は避けたいランドは慎重にリードし、カウントを稼ぐ。片やイグニスは、1球1球に全神経を集中し、ここぞという時を狙う。
そんな2人の気持ちのぶつかり合いで緊張感が高まってく中、投げられた4球目。ギリギリストライクになるよう投げられたアウトコース高めのストレートに、イグニスは渾身の力でフルスイングする。
「いっけー! フレイムバスターッ!」
そう叫びながらイグニスが打った打球は、バットの摩擦とイグニスの力で紅蓮の炎に包まれ、空の彼方まで飛んでいった。勝ち越しとなる3ランホームランだ。
試合を決める主砲の1発に私達は歓喜し、ベースを1周して帰ってきたイグニスを褒め称える。
とはいえ、気を抜くにはまだ早い。私達が先攻である以上、試合は終わってないんだから。
岸川ゆかりの能力
・投手能力
右投げ右打ち
球速135㎞
コントロール……A
スタミナ……B
カーブ……3
スライダー……5
チェンジアップ……1
魔球……ライズボール
・野手能力
ポジション……ピッチャー&キャッチャー
ミート……A
パワー……E
走力……B
肩……B
守備……C
捕球……C
(アルファベットはS~G。変化量は1~7で表記)
ゆかりの場合、霊体故この能力でおさまっています。そう考えると、もし生きていたら、ソフトボールの日本代表選手になれていたかもしれません。




