白熱の体育祭【懸念と煽り】
まずはD組。かつてオーグとヴォルグがいたこのクラスは、奴らを見たらわかるとおり、問題児や留年ギリギリなぐらい低い学力の生徒が集まっている。反面、得意科目が体育という生徒が多く在籍していて、個人競技、特に格闘技系の競技は侮れない。
続いてC組。ここには運動音痴で運もない貧乏神がいるけど、ランドを始めとする部活のレギュラーメンバーがそのマイナス面を補っていて、全体的にバランスがいい。
そして、忘れちゃいけないのが、最大の敵・A組。文武両道の生徒が大勢いる上、あの瓢介が学級委員としてクラスをまとめている。そのため、瓢介のリーダーシップが発揮される団体種目となった場合、基本スペックの高い生徒達が結束し、圧倒的なチームワークで他のクラスを容赦なく蹂躙することになる。
コハクの口からそう聞かされた私達は、いつの間にか浮かれてはいられなくなった。
(そういえば、去年もさっきのような楽観視をして、あいつがいたクラスにボロ負けしたんだっけ。そう考えると学習しないなぁ、私って)
と、自らのバカさ加減に反省していると、
「おいおいどうしたぁ? まるで葬式みてぇな暗さじゃねぇか」
と言う声と共に、何処からともなく瓢介が現れた。
「か、会長! いつの間に!?」
「ん? ついさっきからだ。それよりよ、いいのか? そんな空気で。そんなんじゃ今年も俺らが勝っちまうぞ?」
「そうはいくかっ! 勝つのは私達だよ!」
「はっはっは! その意気だ。じゃ、せいぜい頑張れよー」
そう言って瓢介は教室から出て行った。あの態度、なんか腹立つ。
「偵察しに来たのかな?」
「大将自らというのは考えにくい。おそらくだが、ただからかいに来ただけであろう」
「だろうね。あいつはそういう奴だよ」
だからこそ、吠え面をかかせてやりたい。それはみんなも同じなようで、打倒A組&優勝の気運が高まっていった。
もちろんその中に、非協力的なアレクシアは入ってないけど、あいつの他にも、優勝以外のことを考えてる奴がいた…………
その夜。眠りにつこうとベッドに入った私の耳に、ペシンペシンという不規則な音が聞こえてきた。
(なんだろう?)
不思議に思い、音を頼りにカーテンを少し開けて窓の外を見てみると、そこにはカスミンとコハクに縄を回してもらい、声援を送ってもらいながら練習しているコウメイがいた。
(コウメイ……そっか、あいつ……)
懸命に練習する姿を見て、私はなんとなくコウメイの気持ちがわかった。
クラスで1、2を争う運動音痴のコウメイにとって、打倒A組や優勝は現実的な話ではない。いかにみんなの足を引っ張らないか、それだけがあいつの目標なんだ。だからコウメイは、せめて団体競技だけでもみんなに迷惑をかけないように、あぁやって生傷をつくりながらも、苦手な縄跳びの練習を重ねている。
そんな健気な姿を見てたら、なんだか力になりたくて、ウズウズしてくる。しばらく眺めてる内に、居ても立ってもいられなくなった私は窓から飛び降り、コウメイの特訓に付き合った。
時間はあまり残されてなかったけど、やれるだけのことはやった。あとは特訓の成果を本番にぶつけるだけ。決戦は日曜日。瓢介達と雌雄を決する時は、すぐそこまで迫っている…………




