白熱の体育祭【鼓舞】
西暦2157年9月23日。この日、私やイグニス達大半の生徒はいつになく闘志を漲らせていた。それもそのはず、明後日は学校生活お馴染みの一大イベントであり、スポーツの祭典・体育祭が催されるから。
うちの学校の体育祭は、クラス対抗の割にかなり大規模でね。もうほぼオリンピックじゃん! って言いたくなるぐらい観客動員数も競技のバリエーションも桁外れに多い。それこそ、100メートル走や綱引きといった定番のものから、野球や水泳、剣道やマラソンといった本格的なものまである。
そんな多種多様の競技の中から、生徒は事前に出場する種目を選択し、エントリーすることでその競技に参加できる。ただし、大縄跳びと騎馬戦は例外で、全員参加競技ということで、強制エントリーとなっている。
ちなみに私は、その2つと野球に出場するつもりだよ。
てなわけで、今日は体育祭開催を控えた最後の平日ということもあり、私達は放課後まで残って、互いを鼓舞していた。
「アクア。水泳の方は任せたぞ」
「えぇ。イグニスも頑張ってね。くれぐれも油断しないように」
「大丈夫だよアクア。私とイグニスがバッテリーを組むんだよ? 負けるはずないって」
そう言う私には自信しかなかった。
それは野球だけに限ったことじゃない。今年の体育祭はB組が勝つ。そう断言できるほど、今年のB組は一味違う。
アピールタイムである昼の部1発目の応援合戦には、現役アイドルのミュミュが出るし、100メートル走と選抜リレーには、半馬特有の快速の足を誇るユリウスが出場する。
その他の競技にも、剣道部主将のデュラハンとかといった各運動部の主力級選手がそれぞれの得意分野で出場を予定している。それだけに、
(うちのクラス最強でしょ)
と、ついつい勝利を確信して、ニヤけてしまう。
そんなクラスの緩みきった空気を見かねたのか、それまでお茶を飲んで静観していたコハクが、
「言っておくが、慢心するでないぞ。妾達3年B組は確かに強いが、無敵とは限らんからの」
と、釘を刺してきた。
「へ? どゆこと?」
子供であるコハクの一言に、私達は目が点になる。
「自分で言うのもあれじゃが、妾や霞、光明といった障害物競走に出る者や、当日不参加などとほざいておるアレクシアは、運動神経が極めて悪い。個人種目だけでなく、団体種目でも確実に足を引っ張ることになるであろう」
コハクの言葉に、カスミンとコウメイは特に不安を感じる。
「そこはあなた方が、勝手に頑張ればいい話ですわ」
「あんたもね!」
そう言って私とミュミュとイグニスは、アレクシアの頭を同時に叩く。
「っつー……気安く頭を叩かないでいただけます? バカになったらどうしてくれますの?」
うっさい。あんたはとっくにバカでしょうが。バカお嬢。
「無論、妾達も明後日に備えてやれるだけのことはやっているつもりだ。だが、世の中には努力だけでは越えられん壁というものがある」
「というと?」
コウメイがそう聞くと、コハクは懸念材料である各クラスの状況について説明を始めた。
ここからしばらく『白熱の体育祭』という体育祭ものの長編となります。




