また会おう
って、ちょっぴりしんみりしてると、空港玄関の方から、さっき起きたばかりのコウメイ達が駆けつけてきた。
「あ! 柚さん! やっぱりこちらに! あれ? 恋さん達は?」
「先に行ったよ。『みんなによろしく』ってさ」
恋から言われたことを伝えると、カスミンやコウメイ達は残念そうに肩を落とした。
「じゃ、私もそろそろ行くね」
そう言って、柚は私達に背を向け、次元のミュータント能力で空間跳躍して帰ろうと、手を前に突き出したけど、何かを思い出したのか中断して、コウメイ達の方を向き直した。
「あ、そうだ。みんなに1つだけ言っておくね」
「何でしょうか?」
「いつまでも、ゆかりんと仲良くね。私のことでゆかりんと距離をとった人もいるみたいだけど、私と違ってゆかりんは、表裏のない根っからの善人だから。もし、彼女を悲しませるようなことをしたら、その時は……許さないよ」
最後の『許さない』の一言と共に、柚から殺気が発せられる。ブラック・ナイト時代に培われた強烈な殺気を受けたミュミュやイグニス達は、まるで蛇に睨まれた蛙のように硬直する。
そんな中、何度も怖い妖怪と対峙してきたのか、コウメイだけは勇気を振り絞って応えた。
「では、僕らからも1つ。柚さん。僕達はもう、あなたのことを友達と見なしています」
思わぬ返しに、柚は毒気が抜かれたらしく、キョトンとする。
「だって、あなたは岸川さんの親友なんでしょう? だったら、僕らとも友達、ですよね?」
コウメイのその言葉に、コハクやアイン達は『よく言った』と褒め称え、同意見だと柚に向かって口々に言う。
反対する奴もいるかもしれないと思ったけど、ここにいる3年B組のみんなやレミ達は昨夜の柚の言動を見たからか、素直に受け入れてくれたみたい。
よかったね。柚。みんなに認められて。私も自分のことのように嬉しいよ。
「そういうわけだからさ、気にすることないよ。柚。あんたとしては、今までのことで負い目があったから、合わせる顔がないって思ってたんだろうけど、これっきりでお別れなんて、それこそナシだよ。そんなの悲しいし、私だって寂しいからさ。だから、気が向いたらまた来なよ。そん時は私達全員で、あんたを歓迎するから」
私がそう言い、レミ達は笑顔で頷く。それを見て気持ちが楽になったのか、柚の表情が和らいだ。
「わかった。女優業で忙しいけど、時間がとれたらまた来るね」
そう言うと、柚は空間に穴をあけて、
「じゃあね。みんな」
と言って、その穴の中へと消えていった。
(バイバイ。柚。また会おうね)
幼馴染みでもある大親友が帰ったのを見届けた私は、そう心で言うと、みんなと一緒に空港を後にした。
言っとくけど、これは今生の別れじゃない。遺恨を残すような別れでもない。再会を誓う前向きな別れなんだ。でなきゃ、『また会おう』なんて、口が裂けても言わない。
その時が来るまで、私はここで待ってるよ。ここにいるみんなと、最高の町で出会った最高の友達と一緒に、ね………………
前半の山場はこれにて終了です。
柚や未来、そして、今回名前だけ登場した龍を始めとする150年前の人物と事件の詳細については、『死獣神』シリーズをご覧ください。




