拾った友情
と、同時に、すごく嬉しかった。柚が怨念や復讐心を乗り越えて、第2の人生を幸せに送れてることが。
「幸せそうだね」
「まぁね。でも、あなたを裏切った私が幸せになるなんて、虫が良すぎるよね? だから、私のことは一生許してくれなくてもいい。けど、部屋の外にいる彼らの言葉には、せめて耳を傾けてあげて」
柚がそう言いながら見つめた扉の向こうから、コウメイ達の『出てこい!』って声が、絶えず聞こえてくる。
「みんな、あなたを友達だと認めてるから、あそこまでするの。本当に彼らのことを想うのなら、それに応えてあげるべきだよ」
「柚……」
「いってらっしゃい。私が知ってるゆかりさんは、誰よりも友達のことを大切にする人のはずでしょ?」
そう言って柚は、コウメイ達が伸ばした手に届かせるように、私の背中を押してくれた。
そっか。みんなが拾ってくれたんだ。私が勝手に捨てた友情を。それができるから、友達なんだ……
そう思うと、なんだか気持ちも軽くなり、気付いたら透けていた体がはっきりと見えるようになっていた。自分でもわかる。幽霊が言うのもなんだけど、生気を取り戻したんだ。
「……そうだね。ありがとう。柚」
「礼を言う相手を間違ってるよ。礼なら彼らに……」
「もちろん、みんなにも言うつもりだよ。けど、やっぱ最初は1番の親友であるあんたに言うべきかなって思ってね」
そう言うと、柚はすごく驚いた顔をした。
「私を、親友だって認めてくれるの?」
「うん! そりゃ、キャラは変わっちゃったけどさ、あんたの優しさはあの頃とちっとも変わってないよ。なのに絶交とか、するわけないじゃん。あんたは今も昔も変わらない。私の大好きな大親友・猫宮柚だよ。」
私からの大親友認定がよっぽど嬉しかったのか、柚は笑みを浮かべた。
「ありがとう。ゆかりん」
「やっとそう呼んでくれたね。あんたにそう呼ばれんの、150年待ったよ」
「待たせてごめん」
「いいよいいよ。っと、私もこれ以上待たせちゃ悪いね」
そう言って、私は柚と一緒に、部屋の扉を開けた。
と、同時に、さっきまで扉をドンドンと叩いていた勢いのまま、コウメイ達が部屋に雪崩れ込んできて、私は押し潰されそうになる。
「岸川さん!」
「ゆかりっ!」
「お前という女は、まったく。心配かけさせおって」
「みんな……ごめん。ありがとう! だーい好き!」
満面の笑みでそう言うと、みんなホッとしたのか、つられて笑った。
一件落着。そう思ったのか、柚は安堵の表情を浮かべて、その横を通り過ぎる。
「柚ちゃん。ありがとな」
「礼を言うのは私の方よ。ゆかりんとの仲を修復する機会を与えてくれてありがとう」
「気にすることはないよ。友情を落とした奴が近くにいたからね。そのついでだよ」
恋の言葉に、柚は『そっか』とだけ返して、こっそり帰ろうとした。この期に及んで、まだコウメイ達に気を遣ってるみたい。
その足をコハクが止める。
「さて、ゆかり。そろそろ行こうか」
「行こうって、どこに?」
「界黎学園だ。行けばわかる。柚殿も来てくれるな?」
訳がわからずとりあえず頷くと、コハクは私や柚達を連れて、界黎学園高校へと移動した…………




