最高の日
コハクに言われるがまま食堂に到着すると、そこには何かのパーティーの準備をしているウネ先生達の姿が。
「ん? おぉ、ゆかり。待っておったぞ」
「龍じぃ! それに瓢介達にエクセばぁまで……」
あ、やっぱり、私を毛嫌いしているユリウスはいないか。まぁ、いたらいたで、口論になりそうだけど。
「これはいったい……」
「お忘れですか? 今日は9月16日。ゆかりさんの誕生日であり、命日ですよね?」
「なので……」
そう言って、恵比須は大きい板を脇に抱えて脚立を上り、その板を壁に打ちつけると、
「ゆかり先輩のバースデーパーティー! ってわけっすよ」
と、ジャジャーンと発表するように両手を広げて明かした。その発表と、板に書かれた『岸川ゆかり 誕生日おめでとう』の文字に、私の涙腺はまた緩みそうになる。
「はっはっは! 岸川、お前は幸せ者だなぁ! 理事長に感謝しろよ。このパーティーを企画してくれただけじゃなく、飯代とかの経費の負担や、ここの使用許可とか全部やってくれたんだからな」
「そういうわけだから、ゆかり。今日は遠慮せず、たーんとお食べ」
「エクセばぁ、みんな……ありがとう!」
嬉し涙を流して笑う私を見て、パーティーを開いた甲斐があったと微笑んだ瓢介達は、私や柚、先生達にジュースが入ったグラスを渡した。
乾杯の音頭をとるのは、主役の私。
「みんな。今日はほんとにありがとう。じゃあ……かんぱーいっ!」
手短に済ませた挨拶を合図に、私のバースデーパーティーは始まった。
結局、コハクがなんでこのパーティーのことを知ってたのかはわからずじまいだったけど、それでもみんなは、大いに楽しんでたと思う。ウネ先生のドジや翔馬と柚と千尋のスケベトリオのセクハラといった悪ふざけも含めてね。
それは私も同じ。今まで、私にとってこの日は、家族を悲しませた最悪の日でしかない。それだけに、1人ぼっちの誕生日を何度恨めしく思ったか数え切れない。
だけど、今日は違う。柚と再会できたし、みんなとの友情も取り戻せた。こんなに盛大に誕生日を祝ってもらうなんて、生まれて初めてかもしれない。
だから、これだけははっきりと言える。今日はこれまでの人生で1番幸せな命日&誕生日だって。そんな最高の日をくれた柚やレミ、先生やみんなには感謝しかないよ。
(やっぱ、友達っていいなぁ)
みんなと一緒にドンチャン騒ぎをしながら、私は心の底からそう思った…………




