運命的な出会い
そんな存在すら消滅しかかっていた私に転機が訪れたのは、今から2年前の西暦2155年1月11日。近くの寺の屋根や私がもたれかかる墓石に雪が積もったこの日、あの人が私の前に現れた。
「君が、ここに住んでる霊だね?」
何十年かぶりに話しかけてきた希有な存在に、私は虚ろな目を向ける。
「…………私が、見えるの?」
「あぁ。それより、そんな格好で座ってて寒くないかい?」
病院のパジャマ姿の私の前でしゃがんで、そう聞いてきたその人の言葉に、思わず笑みが零れた。笑うのなんて、いつぶりだろう?
「変なこと聞くね。霊が寒さを感じるわけないじゃん」
「それもそうか。申し遅れたね。僕はルドガー・エルフィアス。エルフの国・エルフィアから来た精霊であり、旅人さ」
そう。その人こそが他でもない先生だった。今思えば、あれが運命の出会いだったのかもしれない。
「へぇ、旅人なんだ……だとしたら、だいぶと暇人だね。わざわざこんなとこに来るなんて」
「まぁね。ここに霊がいるって話を住職さんから聞いてね。だったら会って話してみたいなと思ってきたんだ」
「そう……」
「早速だけど、君はいつからここに?」
そう聞く先生があまりにも聞き上手だったからなのか、それとも不思議な引力でも働いていたのか、よくわからないけど、いつの間にか先生のペースに呑まれるように、私は身の上話をしていた。
自分でもロクでもない暗い話をしてるのはわかってる。だけど先生は、途中で茶化すことも否定することもなく、私の話を最後まで真剣に聞いてくれた。
「……そうか。君がここに居続けているのは、親不孝な自分に課した罰だからか」
「うん……けど、それももう終わり。多分あと1ヶ月もしない内に、私は消えてなくなるだろうから」
私は自虐気味にそう言って、目を逸らした。事実、この時にはもう霊力が微々たる程度しか残ってなかったと思う。




