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忌み子の真相

 死獣神とブラック・ナイトの決戦があった150年前の3月。世間的には柚さんはそこで亡くなったとされているんですが、それは、龍さんの仲間であるペガサスさんが、彼女や龍さん達を廃業させるために偽装していただけで、実際は密かに生きていて、エピウスで女優として生活していました。

 しかも、未来さん達と一緒に、あれだけ目の敵にしていた龍さんと結婚までして。


 それもそのはず、柚さんはエピウスに移住する約1年前に、龍さんに直接勝負を挑んで敗北。それがきっかけで、死獣神に出向名目で加入していました。

 当時の柚さんは、僕達が想像していたとおり血も涙もない復讐鬼で、翔馬さんから聞いた『友達なんていない』と発言していたのもちょうどこの頃です。しかし、龍さんはそれでもめげずに、暖かい心で彼女と接し続けました。

 その甲斐あって8ヶ月後、龍さんとの合同依頼中に命を救われ、想いを知った彼女の中で復讐心が氷解。元々優しい人が好きだったこともあり、惹かれていった彼女は彼と恋仲になり、やがて、結ばれました。


 それからは龍さん達と幸せな生活を送っていたそうなんですが、ソロモン戦争前に敵の首領が初代大魔神だと知ると、少しでも龍さんや翔馬さん達を楽にするために、敢えて敵対し、スパイとして活動していたそうです。



 これが真実。『忌み子』や『ソロモンの姫』と呼ばれ、人々から忌み嫌われるようになったのは、自ら汚名を被った結果そうなってしまっただけで、本当の彼女は今も昔も変わらず、誰よりも優しい女性だったんです。


「……エピウスも、戦後すぐは柚ちゃんに対する誹謗中傷は多かったけど、今はかつての仲間や龍達家族の尽力のおかげで、柚ちゃんのことを悪く言う奴は1人もいねぇ。そんな現状をゆかりちゃんにも知ってほしかったんだ。今の柚ちゃんなら、過去のことを反省して、心からの親友になれるってことも含めて」

 そうか……翔馬さんはそういう意図で岸川さんに……


「ですがゆかりは、あなたの意図を知る前に絶望し、塞ぎ込んでしまった」


「あぁ。今のゆかりちゃんの精神状態じゃ、聞かせたところで焼け石に水。いや、ヘタすると嘘だと思われて、火に油かもしんねぇな」


「そんな! じゃあ、どうすれば……」


「うーん……あ、レミ。あんたなら姉妹なんだし、ゆかりだって話を聞いてくれるんじゃ……」

 恋さんは希望を込めてそう言いましたが、レミさんは無念そうな顔をして、首を横に振りました。


「それができたら、ここに引きずり出してますよ。お姉ちゃん、私にも一切口きいてくれなくって」

 僕らじゃ打つ手がないのか? 友達1人すら救えない自分の無力さに、悔しくて仕方ない……


 僕らの間に諦めムードが漂い始める。そんな悪い空気を打破したのは、先生でした。


「……井村先生。アインさんと生徒会にこのことは?」


「瓢介は知ってるかもしんないけど、メデュシアナとかは多分、詳しくは知らないと思う」


「でしたら、お伝え願えますか? 僕は自分のクラスの生徒に説明します」


「説明って、そんなのしたところで……」


「いえ、今だからこそするべきなんです。何故なら、3年B組のほとんどの生徒は、ゆかりに救われた経験が大なり小なりありますから」

 その言葉で、先生が僕らに何をさせようとしているのか、なんとなく想像がつきました。


「3人も協力してくれるね?」


「はい」


「もちろん!」


「うん。だってゆかりは、私達の恩人であり、友達だから!」

 先生に聞かれるまでもない。僕らの答えは決まってました。


「ゆかりの奴、いい友達を持ったね」


「あぁ」

 そう言う翔馬さんと恋さんは、僕らに期待を抱き、遠巻きに様子を見ていた理事長は、エクセばぁにあ(・)る(・)こ(・)と(・)を頼んでいたそうです。


 誰もが岸川さんのために動こうとしている。事態が好転しつつあると僕らは実感しました。

 そんな僕らの前に、まさかあ(・)の(・)人(・)が現れるとは、この時、夢にも思いませんでした……

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