癒えぬ傷
ポルターガイスト騒動から3日後。あの一件から岸川さんは、学校に来なくなり、寮の自室に引き籠もるようになりました。
というわけで、ここからしばらくの間、僕、安倍光明がストーリーテラーを務めます。
「あれから3日か……ゆかり、今日も来なかったね」
「うん。皆勤賞だったあいつが、学校を休むってことは、やっぱ、辛かったんだ。その真実が」
昼休み、食堂に集まった僕と敷村さんと先生とサダコ先生は、ミュミュさんの言葉に小さく頷くだけで沈黙してしまう。それぐらい、彼女のことを案じていました。
あの後、翔馬さんから柚さんのことを含めた事情を聞かされた僕らは、彼を責めることしかできず、ただただ夕暮れのような暗い気持ちに沈んだだけでした。
「なにせ、ルドガーが施した霊力の封印を解いてしまうほどだからねぇ。その力の強さとあいつの心の荒みっぷりを校舎の被害が物語ってるよ」
サダコ先生の言うとおり、岸川さんのポルターガイストによる被害は甚大で、校舎の修復作業が今も続いています。
と、そんな話をしている僕らのところに、何故か帰ったはずの翔馬さんと恋さんが、レミさんと幸ちゃんと一緒に来ました。
「やっぱりみんな、お姉ちゃんのこと心配してるんだ」
「レミさん! それに幸ちゃんに翔馬さん達まで……どうしてここに?」
「学校休んできたの。一昨日、翔馬さんから話を聞いてから気が気でなくって」
「私は、創立記念日で休みだったんだけど、さっき、レミさんから話を聞いて、それで……」
そっか。2人も岸川さんを心配して……
「翔馬さん達は? 特別講師の方々は、昨日全員帰ったはずじゃ……」
「だからって、このまま知らんぷりして帰るわけにゃいかねぇだろ。俺が原因なわけだし」
翔馬さんも責任を感じてるんだ……そう思ってるとレミさんが、険しい顔をして翔馬さんの方を向き、
「翔馬さん。1つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「なんでお姉ちゃんにあんなこと話したんですか? いくらお姉ちゃんが知りたがってたからって、話さないって選択肢もあったはずじゃ……」
と、問い質しました。
レミさんの言うとおりです。そこは僕らも保健室で追及しました。その時は、翔馬さんもショックだったのか、回答を得られませんでしたが。
「……傷つくことがわかってなかったっつーのもあるし、時効だからって軽く考えてたってのもある。けど、それでも多分、話してたと思う」
「どうして?」
「あの話にはまだ続きがあるんだ。柚ちゃんの真意とか、150年前の真実とかがな」
「どういうことですか?」
僕がそう尋ねると、翔馬さんは岸川さんや僕らにも言ってなかった真実について語ってくれました。




