軽薄なる風
「いまいちピンとこないなぁ……そんだけ?」
「んなわけないでしょ。何人か私も知らない人もいるけど、アインの開発者である未来も来てるし、あんたもよく知るあいつも来てるよ」
へ? あいつ? あいつって誰?
と、恋の言葉に疑問を感じてると、
「ダーイビーング押っし倒しーっ!」
という聞き覚えのある声が背後から聞こえ、その直後、声の主が私の体をすり抜けて、顔面からテーブルに激突。シャチホコみたいな体勢になった。
あっぶなー。あと少し気付くのが遅かったら、エクセばぁ特製日替わりランチが台無しになるところだったよ。
「な、何!? この変な人!」
びっくりしたミュミュから『変な人』認定され、顔を押さえながらゆっくりと起き上がるバカ。そのバカの顔を私は鮮明に覚えていた。
「いつつつつ……しまった。ゆかりちゃんが幽霊だってことすっかり忘れてた」
「あーっ! 翔馬!」
そう。そのバカとは、これまで散々話題に上がっていた翔馬のことだよ。
「翔馬って、あの!?」
「いかにも。軽薄同盟会長にして『軽薄なる風』田中翔馬とは俺のことだ。お前らのことは、千尋から聞いてるぜ。ゆかりちゃんの今の親友だってな。ま、そんなわけで、よっろしく~」
150年以上経っても変わらない軽薄っぷり。
千尋から軽薄同盟とかいうナンパ目的のドスケベ集団を結成してるって話は聞いたことあるけど、ペガサスが中にいないってだけで、ここまで箍が外れるとは……バカは死んでも直らないとはこのことか。
ってか、こんなのがエピウスの常駐部隊の准将って……大丈夫なの? エピウス。
「ほんっと、あんたって、呆れるぐらい自由だね」
「ははは。自由に浮遊霊ライフを満喫してるゆかりちゃんには、言われたくねぇな」
うっ、それを言われると、反論できない。
「それで、翔馬さんも講師としてここに?」
「おう。体育の特別授業で、護身術を教えてやろうと思ってな。なにせ俺、こう見えても軍人で、風のミュータントだからよ」
そっか、翔馬もミュータントなんだ。1回死んで、ペガサスが体から出た後に得たってわけか。
「とか言いつつ、どさくさに紛れてセクハラするつもりだったりして」
「あ。やっぱバレた?」
やっぱりか……ほんと、このバカは……
「体育はやめといた方が良さそうだね」
「うん。私は大丈夫だろうけど、クラスの女子が、翔馬のセクハラ攻撃の餌食になるところを見るとか、耐えらんない」
「あたしもヤダよ!」
「私も」
「妾も御免被る」
「そっかー。残念だなぁ。色んな意味で」
うっさい。いい加減黙れ。このドスケベ。
ついに僕の全作品のほとんどに登場するレギュラーキャラ、翔馬と恋が登場しました。
翔馬が会長を務める軽薄同盟は、救いようのないほど軽薄な7つの会則に則って活動しております。
現在会員は翔馬と千尋を含めた5人で、嫁や部下の反対もあって正式な会員ではありませんが、閻魔大王が総会長代理を、神様が総会長を自称しています。
また、翔馬は風のミュータントということで、自身を風と化したり、物質を風化させて身を守るということができます。




