立ち塞がる大男
捜索すること数分。瓢介を残して先を急いだ私は、ついに倉庫の一角で、レミと幸の姿を視界に捉えた。
見張りはいない。今、瓢介と千尋が足止めしてる奴らで全員みたい。
だったら、この機を逃す手はない。そう思った私は、アレクシアを気絶させるように、霊気を放ちながら憑依を解き、2人の背後からコッソリと接触した。
「大丈夫? 2人共」
「ゆかりさん……!」
「お姉ちゃん! 助けに来てくれたの!?」
「当然でしょ? 姉の背中を守んのが妹の役目なら、妹のピンチに駆けつけ、体を張って守んのが姉の役目だよ。って言っても、私、体ないけどね」
そう言って、私は2人を縛っていたロープを解いた。
これでミッション完了だね。
と、思った矢先、さっきまでいなかったはずの大男が現れ、太い腕で背後から幸を捕まえた。
「おっと、そうは問屋が卸さねぇぜ」
「幸ちゃん!」
しまった。もう1人いたなんて。しかもこいつ、さっきまでの黒服達と明らかに違う。なんていうか、あいつらより修羅場をくぐってきた感じがする。
「残念だったなぁ。こちとら元軍人でな。捕虜を奪還されない見張り方ってのは心得てるんだ」
「あんた……幸を離せ!」
「お断りだ。おまけであるそっちの雪女はともかく、こいつはうちの会社の所有物だ。渡すわけにはいかねぇよ」
「幸は物じゃない! あんたら間違ってるよ!」
「ほざけ。さ、大人しく帰れ。今ならお前らのことは見逃してやる。代わりに、この子のことは、諦めてもらうがな」
「誰が……諦めるもんですか!」
レミはそう言いながら、雪女の力で雪玉を作り、それを投げつけた。
けれど、見張りはそれをヒラリと回避する。しかも、余裕があるのか雪玉が落ちて凍った床を見て、ピューと口笛まで吹いてる。
「危ねぇ危ねぇ。当たったら全身凍り漬けになるって寸法か。けど、いいのか? 俺にそれをぶつけたら、大事なお友達も一緒に凍っちまうことになるぞ?」
「あんた! 幸を盾にする気!?」
「そうなるかどうかは、お前らの態度次第だ」
そう言って優位に立つ大男を前にして、私とレミは舌打ちをした。まったく、アラクネの奴って、どいつもこいつも最っ低!
なんとか、こいつに一泡吹かせて、幸を救う手立てを考えないと。だけど、いったいどうしたら……




