千尋のフェロモン
数分後。見張り達の前に、千尋は姿を現した。
花のミュータントの力を纏った手を、私の首元に突きつけて。
「お、お嬢様!」
「た、助けてぇ、ですわ!」
自分で言うのもなんだけど、芝居ヘタだなぁ。お嬢様言葉のせいかな?
「貴様、お嬢様になんてことを!」
「動かないで。このバカお嬢がどうなってもいいの?」
「おのれ、卑怯な……!」
「卑怯? それはこっちのセリフだよ。若くてかわいい子を2人も誘拐するなんて卑怯なマネをしたのは、あんたらの方でしょ?」
真っ向からの正論にぐうの音も出ないあいつらを見て、千尋はここだと思ったらしく、一瞬だけ口角が上がる。
「……まぁでも、1番悪いのは、あんたらにこんな犯罪行為をやらせてる奴か。だったら、チャンスの1つでも与えてやんないとね」
「チャンス?」
「うん。一応聞くけど、私のことは知ってる?」
千尋からの問いに、見張り達は頷く。
「なら、何がしたいか、わかるよね?」
フェロモンを全開にする千尋にそう聞かれて、黒服連中は一斉に、生唾をゴクッと飲む。
「い、いいのか? そんなことで」
「もちろん。ただし、全部終わるまでこいつに指1本触れちゃダメだよ。もし触れたら、倉庫にある服でロープを作って、あんたらとアレクシアをすっぽんぽん&亀甲縛りにして、町のド真ん中に放置するから。丈夫な糸で有名なアラクネの服なら、訳ないよねぇ?」
千尋。言ってることが色々と滅茶苦茶だよ。
「わ、わかった! 言うとおりにする! だから頼む!」
「にしし、そうこなくっちゃ。んじゃ、いきますか! 5〇生〇メ青〇ターイム!」
言うが早いか、千尋があっという間に素っ裸になると、そっから数秒も経たない内に、もみくちゃになりながら、行為に及んだ。
千尋のフェロモン。末恐ろしすぎる。普通の奴ならこんな誘い方しても、誰も引っかからないよ。まぁ、おかげでこっちとしては助かるんだけど。
そう感謝しつつも軽く引きながら、私と瓢介は千尋達を横目に倉庫内へと侵入した。




