嘲う令嬢
そう。全部アラクネが仕組んだこと。その証拠に、この様子を遠巻きに見物していたバカお嬢が、姿を現すと同時に、誰よりも声高らかに笑っている。
「オーッホッホッホッ! こんな策に引っかかるなんて、やはりあなた達異種族は低能ですわね。猿以下ですわ。オーッホッホッホッ!」
「アーレークーシーアーッ! あんた! 先生に言われたこと無視して、何、幸にちょっかい出してんの!」
「失礼な。私はちょっかいなど出していませんわ。数名の生徒を買収してファンのフリをしてもらい、その人混みに乗じて、執事達に座敷童子を回収させただけですわ」
「それをちょっかいって言うのよ!」
私はそう怒鳴るけど、アレクシアからすればどこ吹く風らしく、全く届いていない。
「なら、クネリスさん。どうしてレミさんまで?」
「それは、私も存じませんわ」
「嘘つくなっ!」
「嘘じゃないと思うよ」
不意に聞こえてきたその声に振り向くと、そこには千尋と先生がいた。騒ぎを聞きつけて駆けつけたみたい。
「どういうこと? 千尋」
「私が黒服なら、昨日、仕事の邪魔をしたレミも一緒に捕まえるってこと。その方が仕事をスムーズにこなせるからね」
「そういうことか……」
「さぁ、どうしますの? 早くなさらないと、座敷童子は本社に逆戻り。あなたの妹は人身売買にかけられてしまいますわよ。オーッホッホッホッ!」
反省はおろか得意気になって笑うアレクシアの態度に、私の怒りはピークに達した。それは多分、コウメイや先生達もだと思う。
「コウメイ。式神で2人の居場所を探って」
私からの頼みにコウメイは快諾し、稲荷と数体の式神を召喚して、2人を捜索してもらった。
「千尋は私と一緒に来て。ミュミュとカスミンと先生は、こいつの執事が余計なことをしないように見張ってて」
「執事だけ? アレクシアは?」
「このバカお嬢は、私が直接見張る。こんなことしでかした罰として、こいつにも手伝ってもらう」
「バカも休み休み言いなさい。私があなたに協力するとでも?」
「させんのよ。私が無理矢理にでもね」
私の言葉に嫌な予感を感じたのか、アレクシアはドレスをたくし上げて回れ右し、走って逃げようとする。
「って、逃がすかー!」
私は、高いヒールなんか履いてるせいで、全力疾走できないあいつに追いつくと、有無を言わさず憑依した。
無事憑依に成功したことを確認すると、私は先生とカスミンとミュミュにその場を任せ、千尋と一緒に2人と黒服達の後を追った。
待っててね。レミ、幸。必ず助けるから…………




