座敷童子と極悪令嬢
午後7時。界黎学園に来ていた修学旅行の子供達は、ホテルやうちの学校の学食等で夕食を食べていた。
その内、レミやさっき代弁してくれた子・コハクがいる班は、事情を知った龍じいの計らいで、私達と一緒に寮で食べることになり、その中には例の女の子・座敷幸もいた。
そこで私達は、幸が何者なのか知ることになる。
「座敷童子!? あんたが!?」
びっくりする私の聞き返しに、幸はコクリと頷いた。
東北で有名な妖怪・座敷童子。福を呼び込む力を持つ善良な妖怪として世間的に有名だけど、それがまさか実在してるなんて。
「そっか! あの黒服連中は、あんたが座敷童子だから、追いかけ回してたんだ!」
「うん。嫌になって逃げたら、あの怖い人達が……」
「必死になって追いかけてきた、と……でも、どうして?」
カスミンが疑問に思い、そう言うと、それまで黙って食べていたコウメイが徐に口を開いた。
「……あの黒服の人達がスーツにつけていたバッジ……あれは多分、アラクネのシンボルマークだよ」
アラクネ……その名前は私でも知ってる。
高級ブランド品からリーズナブルなファストファッションまで、服に関するありとあらゆることをやってる世界トップクラスのファッションブランド。その財力とブランド力は、私が生きてた時代のどの高級ブランドをも凌ぐと言われている。
ブランドに疎い私でも、デザイン性と生地の丈夫さから、ちょくちょくお世話になっている。
まぁ、そうでなくても私とは、いや、私のクラスとは縁がある。何故なら……
「確かアラクネって……あんたの父親の会社だったよね? アレクシア」
私は、あえて離れた席で食事している同級生・アレクシア=クネリスに問いかけた。
みんなは覚えてる? ほら、前に食人植物が暴れた時に、アインに助けてもらっといて、礼の1つも言わなかったバカお嬢だよ。
コウメイと同じ人間ではあるけど、なんでこの学校にきたの? って言いたくなるぐらい、人間至上主義者で異種族を差別してるし、協調性の欠片もなければ、性格も最悪レベルに悪い。
今だって、私らがキキさんの作った庶民的な晩ご飯を食べてる傍で、わざわざ専属シェフが作った高級ディナーをこれ見よがしに食べてるし、ほんと、性根が腐ってる。ユリウスとは違う意味で大っ嫌いだよ。
「えぇ、そのとおりですわ。それにしても、折角お父様が捕まえて飼っていたのに、逃げ出すとは、救いようのない化け物ですわね」
「捕まえて飼ってた!? どういうこと!?」
耳を疑った私が強い口調でそう尋ねると、幸は自分が置かれていた状況について話してくれた。




