↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/205

修学旅行の時期

 西暦2157年8月31日午前9時半。夏休みも最終日を迎えたこの日、私はいつもより遅めに起き、寮の食堂にあるテレビでやってる野球部の特集をボケーッと見ながら、キキさんが作ってくれた朝ごはんを食べていた。


 あれ以来、イグニスとアクアの恋は上手くいってるかと思いきや、実際はそうでもなく、連日のようにマスコミが取材にくるせいで、デートに行くヒマすらないらしく、そのことで昨夜2人から散々愚痴を聞かされた。

 まぁ、アスリート同士なら、お互いその辺の理解はあるだろうし、長いこと両想いだったわけだから、このぐらい、2人の恋路にはどうってことないだろうけど。


「ほら、ゆかり。早く食べなさい。さもないと、皿洗いさせるよ」


「それは勘弁!」

 はぁ……キキさんは相変わらず口うるさいな。キーキーと。


 って、あれ? そういえばなんか違和感が……

 普段、この時間だと、もっと食堂に人がいてもいいはず。なのに、今日は明らかに少ない。これはどういうことなんだろ?


「ねぇ、キキさん。他のみんなは?」


「あぁ、1年と3年の子はいるけど、2年の子はいないよ。今日から修学旅行だからね」

 そう言われて合点がいった。そっか。もうそんな季節なんだ。


 うちの学生待望のイベント。それこそがさっき話題に上がっていた修学旅行。

 人間の学校なら、そこまで珍しくないかもしれないけど、天使養成学校を始めとするほとんどの異種族の学校では、校区外での活動はあまりしないし、そもそも修学旅行自体がない。

 だから、これ目当てに入学や転入してくる生徒が相当数いるの。

 ちなみに、私も去年行ったよ。中学時代、病気のせいで行けなかった沖縄に。いや~、あん時は楽しかったなぁ。


 そんな楽しい楽しい修学旅行に、今、メデュシアナや恵比須、アインや隼太が行ってる。


「今年はどこ行ってんの?」


「確か……フェアリーヴィレッジだったかな?」

 フェアリーヴィレッジ……精霊の長が住む精霊界の首都だっけ? 噂だと、多種多様な精霊がいて、神秘的で綺麗な場所だって聞くけど。


(長も民も穏やかだっていうし、それはそれですっごく行きたいかも……)

 浮遊霊として、長いこと世界中を見て回ってきた私だけど、容易に入国できない異種族達の国には、未だに行ったことがない。いつかは行けたらいいなぁ……


 そう思いを馳せていると、キキさんが現実へと引きずり戻す。


「それはそうと、ゆかり。時間切れだよ」


「へ? 何が?」


「何がって、言ったでしょ。『早く食べないと皿洗わせるよ』って。というわけで、約束通り皿洗いよろしくね」


「そんな~! キキさんの鬼ー!」

 そう抗議するけど、聞いちゃくれない。私は仕方なく、皿洗いをするハメになった。

 あーぁ、折角の休日なのになぁ…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。