甲子園を目前にして
それから地区予選が始まるまでの2週間。私達はイグニスの特訓に付き合った。
当のイグニスは、打撃面でもかつての調子を取り戻しただけでなく、投球にも磨きをかけ、更には、例の決め球を僅か1日でマスターした。
その成長ぶりや出で立ちは、まさしくエースそのものだった。
そんな進化を遂げたイグニスを擁する界黎学園野球部の活躍ぶりは、当初の私達の予想を遥かに凌ぎ、前年とは比べ物にならないほど凄まじかった。
まず、切り込み隊長であり、ミュミュからの声援を受けてやる気MAXの隼太が出塁して相手の出鼻を挫き、クリーンナップであるランドとイグニスの長打で点を取る。その爆発的な打力の援護を受けたイグニスが、三振の山を築いていく。
これ以上ない勝ちパターンを作った界黎学園は、それによって、地区予選のほとんどの試合をコールド勝ちで制し、目標だった甲子園行きをあっさりと達成した。
この快挙に学校の新聞部だけじゃなく、学園都市のテレビ局もイグニス達を取り上げ、界黎学園野球部は、一躍、時の人となった。
「やったね。イグニス君」
「おう! それもこれもみんなお前らのおかげだ。ほんとにありがとう」
甲子園出場を決めた次の日の教室。イグニスはそう言って私達に感謝を述べた。
「それで、彼女からの返事は?」
「あぁ。それはまだだ。正確には、まだ告白すらしてねぇ」
「え? どうして?」
「どうしてって、決まってんじゃねぇか」
そう言うと、イグニスは親指を立てて、
「ここまで来たら、次は甲子園優勝だ! あいつに告るのはそれからでも遅くはねぇ!」
と、声高らかに宣言した。
それ自体は立派だし、応援してあげたいけど、わざわざ教室で言わなくてもよくない? アクアが部活の用事でいないからいいようなもんだけど、いたら100%告白だと見做されるよ。
「そうね。それでもいいと思う」
「だね。散々待たせたわけだし」
「うん。あ、でも、それで欲かいて、途中で負けたりしたら、赤っ恥すぎて目も当てられないよ~」
「うっせぇ。んなことはわかってるよ。だから、ぜってぇに負けねぇ」
お、私のからかいにも負けない闘志が目に宿ってる。もうあの頃の自分はいないってわけか。なら、後は突っ走るだけだね。イグニス…………
ランド=ノームの能力
・野手能力
右投げ右打ち
ポジション……キャッチャー
ミート……C
パワー……A
走力……G
肩……B
守備……D
捕球……S
(アルファベットはS~G。変化量は1~7で表記)




