瓢介の想い
はたして結果は……
「…………悪ぃ。無理」
メデュシアナの恋は、たった5文字で粉砕された。しかも、頭をポリポリと掻きながら。
「はーっ!? 何考えてんのよ! あのバカァッ!」
私達は納得がいかず、聞こえないように、小声でブーイングをした。
「ど、どうして、ですか?」
「実はよ、お前の気持ちには、ずっと前から気付いてたんだ。その想いを、できることなら尊重してやりてぇ。なにせ、俺も同じだからよ」
思わぬ言葉に、メデュシアナはもちろん、私達も耳を疑う。
「お前はそんな見た目をしてるが、誰よりも優しくて、頑張り屋で、だからこそ繊細で傷付きやすい。そんなお前を見てると、ほっとけなくてな。いつしか、お前から目が離せなくなっちまった。要は、俺もお前のことが大好きなんだよ」
(え? じゃあ、なんでフッたの?)
瓢介が語る言葉と結果が違いすぎて、余計意味がわからなくなる。
「けど、だからなんだ。俺は妖魔だ。殺されない限り死ぬことはねぇ。片やお前は魔族だ。どうしても命に限りがある。互いに愛し合ってても、いつかはお前が先に死ぬことになるだろう。お前は、そんな悲しみを俺に背負わせてぇのか?」
そういうことだったんだ。真剣な顔をした瓢介のその言葉で合点がいった。
愛してるからこそ、1人残されるのが辛い。それは、恋に限ったことじゃない。友人関係にも言える。
普段はあっけらかんとしてる瓢介でも、心の中では、そのことをずっと苦悩し続けてるんだ。
「……いつもの感じで、言ってはくれないんですね」
「好きな女相手に、んなことすっかよ。俺は、恋や友情には大真面目だぜ」
「そう、ですか……」
そう言いながらメデュシアナが静かに涙を流していると、瓢介はそれを優しく拭った。
「メデュシアナ。お前はまだ若ぇんだ。せめて、他の男を知ってからでも遅くはねぇはずだ。そう思って俺は、お前の悩みを解決してくれるよう、あいつらに頼んだんだ」
え? そうだったの? 初耳なんだけど。
「今のお前ならきっと、他の奴らとも普通に接することができる。今まで見えてなかった他人のいいところも、もっとはっきりと見えるようになってるはずだ。それでもまだ、俺のことが1番好きだって言うんなら、卒業する日に俺の第2ボタンを取りに来い。そん時は、お前の覚悟と愛に応えてやる」
「本当……ですか?」
「あぁ。全身全霊でな。約束する」
瓢介からの誓いを受けて、了解したメデュシアナの表情が、ぱぁっと明るくなっていく。
その晴れ晴れとした顔を見る限り、2人の恋はbad endなんかじゃない。円満なto be continuedだと思う。




