シュールな笑い
といっても、生徒会がやったことは、思ったより大したことなかった。
「うーん……にらめっこに褒めちぎり、凝視にミニコントか……って、どれもこれも荒療治じゃない! せいぜいまともそうなのが、瓢介の妖術で魅了したぐらいで!」
まぁその瓢介も、術をかけて1秒も経たない内に石化したらしいけど。
「うるさい! 僕らにできることが、それぐらいしかなかったんだ!」
「へー。天下の生徒会がねぇ」
私からバカにしたような口調でそう言われて、ユリウスはムカついたらしく、拳を握り締めていた。普段から偉そうにしてるくせに、その体たらくじゃ、そりゃ言いたくもなるよ。
「ですが、今の話で発動条件が特定できました」
「マジで!? アイン!」
ユリウス達の話やメデュシアナの様子から、冷静に分析して、それを導き出すなんて。流石はアイン。最新科学が生み出したアントロイドというだけはある。
「はい。笑いや羞恥で顕著に能力が発動し、生物、それも男性を石化させる傾向にあります」
そういやさっき、ユリウスがそんなことを言ってた気が。『自分や会長、恵比須ばかり石化する』って。
私は、例の荒療治をその3人が中心になってやってたから、くらってるもんだと思ってたけど、そういう見方があったとはね。
「てことは……メデュシアナは話すのも苦手になるぐらい、異性を意識しすぎてるってこと?」
千尋が治療しながらそう聞くと、アインは頷き、メデュシアナも恥ずかしそうに俯きながらも認めた。
「だったら、生物でも男でもないアインから慣らしていって、徐々に耐性をつけていくってのはどう?」
「それは名案ですね。そうしましょう」
ソフィーの賛同を得た私は、アインにメデュシアナの相手をしてもらい、石化能力が誘発するよう頼んだ。
(これでアインが石化しなかったら、第一段階は成功。時間はかかるけど、一安心ってところかな)
そう思いながら2人の様子を観察していると、アインはメデュシアナと向き合い、徐に腕を直角に曲げたかと思うと、
「ロボットダンス、スタート。ウィーン、ガシャ。ウィーン……」
って言いながら、まさかのロボットダンスをやり始めた。それも真顔で。
って、いやいやいや! ロボットがロボットダンスって、何、その新手のギャグセンス! しかも『ウィーン』って! あんた最新鋭のアンドロイドでしょうが! 古臭いにもほどがあるよ!
でもなんでだろう? 変にシュールなせいかして、見てるとだんだん可笑しくなってきた。
なんて思ってると、『ウィーンガシャ』って声に混ざって、ゲラゲラと笑う声も聞こえてくる。
なんだろう? と、声がする方を見てみると、メデュシアナが涙をちょちょぎらせながら、頭の蛇と一緒になって大爆笑している。それも、私達が軽く引くぐらいに。
「ねぇ、もしかしてメデュシアナって……ゲラ?」
「あ、あぁ、前に恵比須が『恵比須のえびす顔~』と言って、にっこり笑っただけで、あんな風に……」
「で、やった恵比須が石化する、と? あんたらも色々と大変なんだね」
軽すぎる生徒会長だけでなく、笑ったら即石化させるゲラな書記までいる。その気苦労を考えると、ユリウスに同情を禁じ得ない。初めてのことだけど。
なんて言ってると、あれだけ蝉のように絶えず聞こえていた『ウィーン』って声がしなくなった。
「あれ? アイン、どうしたの………? って、えぇっ!?」
私は目の前にいるアインの姿を見て、目を丸くした。
だって、石化しないだろうと思っていたアインが、ロボットダンスのポーズをしたまま、石化していたから。
(でも、このポーズ……アインには悪いけど、ものっすごくシュールすぎて笑えてくる……)
そう思いながら、私は必死に笑いを堪えた。
とはいえ、これで作戦は失敗。振り出しに戻ることになる…………




