乙女の一大事
まぁでも、1度引き受けたからには、やるしかないか……覚悟を決めた私は、千尋が2人の治療にとりかかってる間に、アインと一緒に石化のメカニズムについて調べた。
それにより、メデュシアナの石化能力は、驚いたり、恥ずかしくなったりといった感情の高揚によって、発動するということが判明した。
「てことは、心が落ち着きさえすれば、眼鏡と帽子をしてなくても平気ってわけね?」
「そうなります」
「だったらさ、メデュシアナ。その眼鏡もいっぺんとってみたら? 石化対策ってことは、それ自体に度は入ってないんでしょ?」
「えぇ。でも……」
メデュシアナはそうすることを、どこか躊躇ってるように見えた。
その様子を見ている内に、なんとなくだけどわかった気がする。
メデュシアナは、自分がメデューサっていう恐怖の対象であることが、コンプレックスなんだ、って。
なら、かけられる言葉は1つしかないね。
「大丈夫だよ。メデュシアナ。さっきは予想外だったからびっくりしたけど、あんたのことを怖がってなんかないよ」
「本当……ですか?」
そう聞かれて素直に頷くと、少しは希望を持てたのか、メデュシアナは自分から眼鏡を外した。
一般的に、眼鏡をとったら美人とかってよくいうけど、メデュシアナがまさしくそれだった。
「うん。やっぱりそっちの方がいいよ。んじゃ、そろそろ始めよっか」
そう意気込んだのはいいけど、実のところ、何から手をつけていいのか、私自身さっぱりわかっていない。
メデューサ=女の魔物だから、コウメイさえ治れば万事解決。って、思うかもしれないけど、メデュシアナはあくまで魔族。妖怪退治が専門である陰陽師じゃ専門外だから、やれることは私と大して変わらない。
メデュシアナが鬼だったら話は別だったろうけど。
あれ? そういえばメデュシアナは、なんで今になって、石化能力をコントロールしようと思い立ったんだろう? 書記なら気持ちが高ぶることなんてないだろうし、今まで帽子と眼鏡でなんとか乗り切ってきたはず。それなのに……
そう思った私が疑問をぶつけると、メデュシアナは頬を赤らめ、頭の蛇と一緒になって、モジモジし始めた。ていうか、この蛇、もしかしてメデュシアナの感情とリンクしてんの?
「実はその……好きな人がいまして…………その方に、こ、告白……をしようかと…………ですが、その…………」
「あぁ、なるほどね。今のままじゃ、好きな奴をことあるごとに石化しかねないってわけか」
その言葉に小さく首を縦に振るメデュシアナを見て、私は納得した。そりゃ、恋する乙女にとっては一大事だよね。そう思うと、俄然燃えてきた。
「そういうことなら任せて! メデュシアナ。あんたのその能力、きっちりオンオフできるように、一緒に頑張ろう」
そう言ったあと、やる気がMAXになった私は、ソフィーとユリウスから、これまで石化封じのために生徒会が何をしてきたのか、その成果を聞き出した。
千尋がやってる石化解除の治療は、某有名RPGのような針治療だと思ってもらえると、わかりやすいと思います。




