瓢介の興味
と、そんな話をしていると、
「岸川! また先生のことをそんな風に……!」
ユリウスのバカが、場の空気なんか考えずに話に割って入り、頭ごなしに怒鳴りつけてきた。
その暴走堅物っぷりに、瓢介は笑顔のままあいつを見上げると、たった一言、
「ユリウス。ちと黙ってろ」
とだけ言って、黙らせた。ユリウスが従順なのか、それとも瓢介の威圧感がハンパないのか。後者だとしたら敵に回したくないぐらい恐ろしい。
「こいつらは、死ぬ前からダチなんだよ。そうだよな? 幽霊の岸川」
その言葉に、ユリウスはもちろん、私達も驚いた。そりゃそうだよ。こいつには、私が幽霊だってことは、何1つ言ってないんだから。
「どうして、岸川さんが幽霊だって?」
「俺ぐらいの妖怪になると、発する気でどんな種族かわかっちまうもんさ。おおかた、井村先生とルドガー先生あたりのおかげで、気付かれずに済んでるんだろう。んで、詳しく調べてみたら、田中先生の肉体で、かの有名な田中翔馬の同級生だとわかったってわけだ」
「そうなんだ。あんたって、意外とすごいんだね」
「『意外と』は余計だっつーの。ま、もう1つ気付かれにくい理由があるとすりゃ、その霊気だ。俺や陰陽師である光明ならともかく、死人である敷村や霊感0のユリウスでも認識できるってことは、霊気が桁外れに高ぇってことだ。そんだけ霊気が強ぇってことは、よっぽどデケぇ未練を抱えてるってことだろ? 教えてくれよ岸川。お前がどんな未練を抱えてんのか」
ユリウスに向けられてたプレッシャーが、今度はこっちに向けられる。殺気にも似た威圧感に圧倒され、私はゴクンと唾を飲み込む。
返答次第じゃ消されるかもしれない。そう思うには十分だったから。
けど私が怯えることなんて微塵も無い。だから、
「そんな大した未練じゃないよ。恋も青春もせずに死んだから、そういったことを満喫しつつ、楽しく生きたい。それだけだよ」
って、臆することなく自分の未練について語ったの。
すると、瓢介はプッと噴き出して、高らかに笑いだした。
「はっはっは! なるほどな! そりゃさぞかし、成仏なんざしたかねぇな。気に入ったぜ岸川。お前、最高だよ」
「そう言うあんたもね。瓢介」
そう言って、私達は笑い合った。
今まで生徒会ってだけで避けてきたところがあったけど、話してみたら思ったより懐が深くていい奴じゃん。もっと早くに会ってたら、もっと仲良くなってたかも。まぁそれは、今からでも遅くないか。
まぁもっとも、何故か不機嫌な顔をして、そっぽ向いてる堅物ケンタウロスとは、一生お友達になれそうもないだろうけど。ってか、なりたくもないし。




