透明少女
しばらくして、私達は応接用のソファーに腰掛け、お茶と煎餅をいただいていた。
ま、出した本人である瓢介が1番食べてたんだけど。
「まずは、礼を言わせてくれ。あの草のバケモンからみんなを守ってくれて、ありがとな」
「いや、私達は当然のことをしたまでだよ」
それ言いにわざわざ呼びつけたのかな? だとしたら、思ったより律儀な奴だなぁ……そう思いかけた私だったけど、1つ気になることが。
「って、誰からその話を聞いたの? あの場にあんたらはいなかったでしょ?」
「まぁな。生徒のことを第一に考えんのが生徒会の仕事なのに、情けねぇ話だ」
「そんなことは……」
「誰から聞いたかだったな。それは、うちの庶務からだ」
庶務? あぁ、ここにいない子か。
と、ちょうどその話題になった時、部屋の扉が自動ドアのようにひとりでに開いて、宙に浮いたベージュ色のネコのぬいぐるみが入ってきた。
「瓢介さん。目安箱のチェック終わりました」
「おう。ご苦労さん」
どうやら話の内容からして、このネコのぬいぐるみが庶務みたいだけど、思ってもみない姿形と異様な光景に、私とコウメイとカスミンは言葉を失った。
そんな私達の様子を見て、瓢介は察したらしく、呆れた顔をした。
「おい、ソフィー。早く元に戻れよ。お客さん達ビビっちまってんだろ」
「あ、ごめんなさい。その……やっぱり、人前に出るのが、恥ずかしくて……」
そう言うと、その子は透明化を解いて、ぬいぐるみを抱きかかえた無垢な姿を見せてくれた。
お察しの通り、その子は私達も前に会ったことがあるあの子だった。
「あれ? あんたはあの時、保健室に騒動を知らせに来てくれた! あんたも生徒会だったの?」
「はい。そういえば、まだちゃんと名乗ってませんでしたね。改めまして、1年A組で生徒会庶務をしているソフィー=ミカエリスといいます。こっちは、友達のきなこ。以後よろしくお願いします」
ぬいぐるみと一緒に礼儀正しく挨拶するその子を見て、色々と合点がいった反面、透明化能力者で、飛び級生のこの子の才能の凄さに舌を巻いた。
「恥ずかしくなると消えるその体質は相変わらずのようだね。ソフィー」
「え!? 千尋の知り合い!?」
「まぁね。といっても、会った回数はあんたらと大差ないと思うけど。この子はペガサスの大切な者の1人でね。それ繋がりで、ペガサスやこの子の姉ちゃんに紹介してもらってたの」
へー。そんな繋がりが。
「けど、まさか、生徒会に在籍してたとはねぇ……もしかして、透明になる能力を買って勧誘を?」
千尋がそう尋ねると、瓢介は肯定し、
「えぇ。情報収集という点だけでいえば、これほど有能な人材はいませんよ。それに、真面目で人柄もいいですし」
と言って、ソフィーの頭を撫でた。それが照れくさかったんだと思う。ソフィーの体が、また少しずつ透けていく。
千尋同様、ソフィーも機会があれば、また、別作品に登場します。彼女の姉や、ペガサスと一緒に。




