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千尋

 話は今から66年前。2091年頃に起こった神滅事件まで遡る。

 神滅事件っていうのは、世界樹を傷付けた例の悪党を神と崇めるカルト教団・神滅教っていうのが、世界を潰そうと戦争を起こした事件で、ソロモン戦争の時の子の異母兄弟、つまりこれまた翔馬の子供達が終結させている。


 ここまでは世界史の教科書に載ってることだけど、その裏で教祖がしていたことについては、ほとんどの人に知られていない。

 それは、事故で死んだ翔馬の肉体と全ての並行世界にいる翔馬の残留思念を混ぜ合わせ、神滅教の戦力として一種の人工生命体を生み出していたこと。その人工生命体こそが千尋だった。

 千尋は作られた恩なんか微塵も感じてなかったし、この頃から今の夢を追い続けてたけど、それでも翔馬達と敵対していた。


 その理由は、自分の中にいる天使であり、翔馬にとって唯一無二の大親友・ペガサスのために、あいつが何度も自殺未遂をしたことに対する個人的な恨み。ずっと粗末に扱われてた肉体からすれば、そりゃ恨んで当然だよね。私だって同じ立場だったらそうする。


 だからこそ、今も恨んでてもおかしくはない。そのことについて、私は恐る恐る聞いてみた。だけど、


「うんにゃ、全然。だってあいつ、私に殺されそうになったってのに、自分のケガより私の心の傷の方を察して、ずっと謝ってくれたから。そんなあいつを見てると、なんか自分のやってることが馬鹿らしくなってね。それで許すことにしたの。今じゃ、恋人にこそなってないけど、翔馬のことを愛してるよ」

 と、千尋は拍子抜けするぐらい明るい口調で答えた。

 こんな過去と愛憎劇を経て、今の2人がいる。きっと今の方が、体と魂が一緒だった頃より絆が強いのかもしれない。


「ま、そっから2回も死んで、ミュータントになり、今に至るわけなんだけど。以上で私の話は終わり。どう? 波瀾万丈すぎて驚いたでしょ?」


「流石にね。生い立ちもだけど、やっぱ翔馬と同一人物ってのが1番、ね。だって、性別もそうだけど、顔も全然違うから。でも、全部本当のことなんだよね?」


「うん。外見は、並行世界の翔馬の残留思念や『もし女だったら?』っていう想像とか、スケベっぷりが反映されて、今の形になってるけど、中身は生殖器以外何も変わってないよ。だから、あんたのこともちゃんと覚えてる。学校で過ごした日々も、お見舞いに行った時のことも、死んだ時のことも、全て。そういうわけだから、もう『さん』付けなんてやめてね。何年経ったって、私達は友達同士なわけなんだし。ね?」


「うん! わかったよ。千尋」

 そう言って私と千尋は微笑み合った。

 不思議だなぁ。姿形はお互い変わってしまって、100年以上も会えなかったっていうのに、まるで10年来の親友と話してるみたいな感覚になってる。もしかしたら、友情に時間は関係ないのかもしれない。


 ただ……


「さてと、久しぶりに再会したわけだし……ゆかり、素っ裸になってよ! おっぱいとかオ〇ンコとか触診するからさ。なんなら、コウメイとかルドガーとか呼んで、今から3〇でも……」


「いぃやーっ! いいかげんにしろ! このドスケベサキュバスーッ!」

 こればっかりはどうにかならないかなぁ……千尋の淫乱っぷり、翔馬よりグレードアップしてる気がする。今後こいつと上手く付き合っていけるかって考えると、頭が痛くなる……

 はぁ……前途多難だぁ………………

 神滅事件については、時間、及び要望があれば書きたいと思います。

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