カミングアウト
と、まぁ、このままめでたしめでたしでも、お話としてはいいんだろうけど、そういうわけにもいかない。私には、まだ解決できてないことがあるから。
それを知るために私は、放課後、千尋さんがいる保健室を訪ねた。
「失礼しまーす」
「はぁい。お、また来たね。いらっしゃい」
「うん。って、だーかーらー!」
昼休みの時より、ヒドい保健室の状態に思わずツッコミを入れてしまう。
「いいじゃん別に。今は私とあんたしかいないわけだし」
そういう問題じゃないでしょ。はぁ……呆れてため息しか出てこない。
「それで? 私に用があって来たんでしょ? ゆかり」
「あぁ、うん」
「なになに? あっちのテク? それともモテ仕草? あ、もしかしてバストアップの方? でも、ゆかりは今のままでも……」
「そうじゃなくって! 私が知りたいのは、なんで千尋さんが、私のことを知ってるかってことだよ」
それを聞いて、千尋さんはようやくわかってくれたみたい。
「あ~そのことか。そういや、あの騒動のせいで言いそびれてたね」
「うん。千尋さんは、初対面のはずの私のことをよく知ってた。その理由がどうしてもわからなくて……」
「なるほどね」
そう言うと千尋さんは、あの時と同じ笑顔を私に向け、
「知りたい?」
「もちろん」
「突拍子なさすぎて、驚くと思うけど?」
「いいから。もったいぶらないで、さっさと話して」
「にしし、OK。んじゃ、おふざけナシで正直に言わせてもらうよ」
と、何度も確認してからようやく打ち明けてくれた。
「実は……私はあんたもよく知る田中翔馬の肉体なんだ」
予想の斜め上をいく爆弾発言。あまりの内容に私は少しの間ポカーンとしていたけど、瞬きを2回してからやっと言葉の意味を理解し、驚愕した。
というのも、千尋さんが言っていた田中翔馬っていうのは、私の小学校から中学校まで同じ学校に通っていた友達で、同じソフトボールクラブに通っていた仲間でもある。
性格はアレだけど、天使を体内に宿している者として、小学校3年の頃から異種族絡みの騒動に介入しているらしく、軍に入隊したり、研究施設付きの基地や独立部隊を作ったりと、活動は多岐に渡る。
聞くところによると、36歳で交通事故でいっぺん死んだんだけど、今から35、6年前に、神様の力で嫁連中と共に不老長寿になって復活。今は、一夫多妻制の国でもあるエピウスで第2の人生を送ってるらしい。
ちなみに、前に言ってたソロモン戦争を終結させた英雄の父親がこいつ。
そんな、私なんかとは比べ物にならないほど、数奇な人生を歩んだ旧友の肉体だっていうだから、そりゃ驚くでしょ。
「え!? ちょっ、それ、どういうこと!?」
訳がわからず少しパニックになりながら尋ねると、千尋さんは1から説明してくれた。




