サキュバスの謎
それから間もなくして、千尋さんの方もメンテが終わったらしく、元通りネジを締め直した。
「よっし終わり。やっぱ駆動系にガタがきてたよ」
「ありがとうございます。田中先生」
アインはそう言って、千尋さんに頭を下げた。
「それにしてもメカまで治すなんて、千尋先生って、けっこう器用なんですね」
「まぁねー。男とどこでもヤれるように、取れる資格は全て取ったつもりだよ」
その言葉に、私達は再び呆れのため息を漏らす。
「結局、ベクトルはそっちに向いてるって、わけですか……」
「その努力、もっと別のことに生かそうよ」
「あはは、無理」
ダメだこりゃ。そう思った私とコウメイとカスミンとミュミュは、ガックリと肩を落とした。
一方で先生は、千尋さんに対して、ある違和感を感じていた。
「そういえば、どうしてそこまで準備がいいんですか? 工具にせよ栄養剤にせよ、少し用意がよすぎるような気がするんですが」
言われてみれば。私はこんな体だから、クラスメートを連れて行く時ぐらいしか保健室にお世話になることはないけど、それでも、栄養剤はともかく工具なんて前まではなかった気がする。
「そりゃそうよ。ここに来る前に、神様やイビルに頼んで、この学校にいる生徒や教師に関する資料を取り寄せて、事前に下調べを済ませてきたから」
「あのお2人の知り合いだったんですか!?」
「うん。だから、それに見合った器材や薬品を用意できたの。工具が無かったのは多分、前の先生がそっち方面に疎かったからじゃない?」
なるほど。それなら納得。
「ま、おかげで、あんたがここに通ってるってことも知れたんだけどね。ゆかり。資料にあんたの名前があった時は、目ん玉飛び出るほどびっくりしたよ」
その言葉に、私は耳を疑った。
「え? なんで、私のこと知ってんの? 私達、会ったことないよね?」
「あ、やっぱそう思うか。ま、普通そうだよね……知りたい?」
意地悪っぽくそう聞かれたから、迷わず頷くと、千尋さんは不敵な笑みを浮かべて、その理由を語ろうとした。




