犯人の正体
翌日の昼休み。私とコウメイとカスミンは、物陰に隠れて、万引き犯が購買に来るのをじっと待っていた。
待つこと数分。万引き犯が購買にやってきた。そいつは紙パックの牛乳とコロッケパンを買いつつ、流れるような動きでジャムパンとクリームパンを盗んでいった。どうみても、初犯の動きじゃない。
一部始終を目撃した私達は、犯人が人目の触れないところに移動し、コロッケパンと牛乳が入った袋に盗んだパンを入れようとした瞬間に、その手を掴み、3人で万引き犯を取り囲んだ。
「……やっぱり、あんたが犯人だったんだね。ミュミュ」
そう。万引き犯は他でもないミュミュだった。
驚いた様子のミュミュから万引きされたパンを没収した私達は、その足で中庭へと向かった。
ミュミュを中庭のベンチに座らせた私達は、何故、犯人がミュミュだとわかったのか、その推理を述べた。
確かに商店街の人の言うとおり、ロケで行った店だけなら、その犯人像も頷ける。
だけど犯人は、不特定多数の人が利用し、尚且つおおよそ取材なんか来るはずがない学校の購買の物にも手をつけている。それも同一犯の仕業だとしたら、ミュミュの評判を落とそうとしていた奴が犯人だとは考えにくい。
そこで私達は、あの後手分けして、商店街で取り上げられていない店でも万引き被害に遭ってないか調査した。そしたら、3件もあったよ。しかも、その3件やロケで行った店には、ミュミュのサインがあったから、ミュミュが来店したことに間違いはない。
これだけならまだ、その3件の店主が評判を落とそうとした奴に、『ミュミュが来たことがある』って、チクった線も無くはないけど、その内の1件で、腕時計を盗まれた時計屋さんは、頑固で寡黙な職人気質の人で、サインを飾ったり、『芸能人が来た』なんて言いふらすような人じゃない。つまり、犯人はミュミュ以外考えられないってこと。
おそらく、犯行の手口はこうだ。
まずミュミュは、番組やプライベートで店を下見して、どら焼きとかといった1番盗りやすそうな物に狙いを定める。
あとはプライベートで来店し、決行するだけ。
その証拠にどら焼きやマドレーヌが入っていた器や、腕時計があった場所にピンク色の毛が落ちていた。万引きしようと伸ばした猫の手から抜け落ちたんだと思う。
「どこか間違ってるところはある?」
私にそう聞かれて、ミュミュは沈黙した。どうやら罪を認めたみたい。




