商店街の事件
なんて思ってると、商店街で店を構えてる人達が入ってきて、2人が作った甘ったるい空気をぶち壊した。
「そうは言うが、実のところいいことばっかりじゃねぇんだよなぁ」
「あ、おめぇは魚屋の。いらっしゃい」
「おう」
「あの、さっきの言葉はどういう意味ですか?」
コウメイがそう尋ねると、魚屋さんはある事件について教えてくれた。
魚屋さんが言うには、ミュミュが例の情報番組の1コーナーを担当するようになった3月前後から、番組で取り上げた店で万引き被害が多発してるんらしい。それも決まって、放送した次の日に。
最初はここのどら焼き。次に肉屋のコロッケ。そこから100均ショップの化粧品、ケーキ屋のマドレーヌ、本屋のマンガときて、最近では魚屋のウニまでやられたんだって。
「それら全ての店に、ミュミュさんがロケを?」
カスミンが聞くと、商店街の人達は全員肯定した。
「そんな……もしかし、私のせい?」
責任を感じたのか、悲しそうな顔をしてミュミュがそう言ったのを見て、魚屋さん達はミュミュの心を傷つけてしまったと、慌てふためく。
「あ、いや、何もミュミュちゃんのせいとは言ってねぇよ。なぁ!?」
「おう。きっと、ミュミュちゃんの評判を落とそうとしてる奴の仕業に違いねぇ」
「ともかく、不審な奴を見かけたら俺達に知らせてくれ。警察に突き出す前に、ミュミュちゃんと俺らの前で、地べたにデコを擦りつけるぐらい土下座させてやる」
そう言う魚屋さん達の目は血走ってて、殺気に似た怒りの炎を纏ってるようにも見えた。そりゃそうだよね。商売してる人からすれば、たかが1回の万引きでも死活問題だもんね。
商店街の人からの協力要請に了解した私とコウメイとカスミンは、仕事があるというミュミュや和菓子屋さん達と別れ、どら焼きを食べながら帰り道を歩いていた。
(このどら焼きも、和菓子屋さんが生活のため、お客さんの笑顔のためと思って、丹精込めて作ってる。それを万引きするなんて、犯人の奴、いったいどんな神経してんだか……)
そう思いながら、頬張ってた私だったけど、ふと、あることを思い出した。
「あ、万引きっていえば、確かうちの購買でも……」
「うん。被害に遭ってたね。菓子パンや飲み物を中心に10日連続で」
「同一犯かな?」
どうだろう? そう決めつけるには早い気もするけど……でも、もしカスミンの言うとおり、同一犯だとしたら…………
そう考えてすぐ、私の脳裏に推理マンガさながらの閃光が走った。
犯人はわかった。後は証拠をみつけるだけ。そう思った私は、商店街へと引き返し、コウメイとカスミンにも協力してもらって証拠集めを始めた。




