売られた喧嘩
けど、その判断が間違っていたことを、私はこの後思い知らされた。
翌朝。寮の自分の部屋でグースカ寝ていると、
「起きよゆかりっ! 寝ておる場合ではないぞ!」
ものすごい剣幕で怒鳴るコハクに、尻尾で叩き起こされた。
「いったー……何すんのよコハク!」
「寝言は寝て言え。霊に痛覚などあるものか。それより、大変だぞ!」
「ふわーぁ。いったい何があったの……?」
「霞とレミが彼奴らに攫われた」
思わぬ知らせに、私の眠気は一気に覚めた。
「なんですって!? いつ!?」
「おそらく夜中だ。今朝、神狐殿の郵便受けに2人を攫ったことを知らせる手紙が入っておったらしい」
「そんな……」
「狙いは間違いなく、神狐殿であろう。そのために彼奴らは、2人をエサとして捕らえたのじゃ。妾達が来ることも計算の上で、な」
「……当然あいつらのことだから、神狐先輩が大人しく人形になったところで、人質であるレミ達を解放しないよね?」
「うむ。それどころか、妾達諸共ドールにしようと画策しておるであろう」
それを聞いた私は、怒りで腸が煮えくりかえった。
「あんのバカ……キモいモヤシのくせに、いい度胸してんじゃない……! コハク、行こう! 今すぐに!」
「うむ。神狐殿も既に寮に来ておる。合流して乗り込むとしよう」
「うん!」
そう力強く返事したあと、私は手早く着替えて、部屋を出た。
待ってなさいよ道キモッ! 私の妹と親友に手を出したらどうなるか、嫌ってほど思い知らせてやる!
神狐先輩と合流し、全速力で町を走り抜けること3分。私達は、界黎学園高校の敷地内にある西洋風建築の離れに到着した。
ここがあいつらの部室ってことらしいんだけど……ったく、こんな連中にこんな立派な建物を部室として使わせるなんて。瓢介の奴、いったい何考えてんだか。マジで考えなしに部活を作って、予算を浪費してんじゃないの?
まぁ、あいつへの愚痴や文句は後でするとして、今は目的を果たそう。
「入るよキモヲタ共っ!」
そう怒鳴って、私はドアを蹴破った。




