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アラクネの糸の価値

 その後、日が沈んでいく中、私達は約束通り執事さんとクラスのみんなが待つ正門(教室は時間的に追い出されちゃったみたい)にアレクシアを連れて帰ってきた。

 アレクシアは最初、負い目とか今の自分の醜さから、顔を見せることを躊躇ってたけど、この期に及んで逃げるとか、私やレミ達が許すはずがない。先生と千尋の背中に隠れていたあいつを、みんなの前に無理矢理引きずり出した。


「クネリスさん、その姿……」


「……見たければ、見ればいいですわ。それも私の贖罪ですから……その……今まで、数々の無礼を働いたことをお詫びしますわ。申し訳ありませんでした!」

 そう言ってアレクシアは深々と頭を下げた。

 これまでやってきたことがやってきたことだけに、石の1つでも投げられるんじゃないかと思ってたけど、その心配はいらなかった。それもそうだよね。だってみんな、誰かのために必死になれる優しくていい奴だから。


「そんなにかしこまらなくていいよ。クネリスさん。みんなもう、君のことを許してるから」


「え? 本当……ですの?」

 信じられないといった様子のアレクシアの問いに、ミュミュ達は笑顔で返す。どうやら私達がアレクシアを連れ帰ってきて、第一声が謝罪だった時点で、みんなの心は許す方向で決まってたみたい。


「そういうこと。あ、言っとくけど次はないからね。次やったら、絶交どころじゃ済まさないよ」


「わかってますわ。ですが、ご安心ください。私ももう、皆さんと同じ化け物ですから」

 アレクシアがそう言うと、ミュミュやイグニス達は一安心としつつも、


「一言余計だ。俺達は化け物じゃねぇっつーの」

 と言って、アレクシアにツッコミを入れた。ま、仕方ないか。18年間染みついた性分はそうそう変わるもんじゃないし、さっきみたいなツッコミを入れつつみんなで正していけばいいよね?



 こうしてみんなと仲直りしたアレクシアは、みんなからの手伝いもあって、少しずつあの嫌みなプライドとか偏見がなくなっていき、クラス以外のみんなとも打ち解けていった。


 中でも1番の変化は、部活に入ったこと。それまで『部活なんて庶民的なもの、私には無用ですわ』って言って、どこにも属さなかったあいつが、手芸部に入部し、ハーフアラクネとなったことでお尻から出せるようになった糸を使って、部員や私達のために服とかコースターを作ってくれるようになった。それも会社や私利私欲のためではなく、あくまで友達のために。


 会社が倒産した今となっては、アラクネの糸にそこまでの価値はないかもしれない。けれど、改心したアレクシアが、私達や自分の幸せのために出してくれたこの糸は違う。絆を紡ぎ、幸せや愛へと繋いでくれる。それだけの真心と強さを秘めた素晴らしい糸だと思うよ。

 え? そんな素晴らしい糸に値段をつけるならって? んなの決まってんじゃん。プライスレスだよ………………

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