↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/205

『ありがとう』と『ごめん』の涙

 と、そこへ、先に出て行ったはずのイグニスが戻ってきた。いつの間にか意識を取り戻したアクアと一緒に。


「その通りね。ゆかり」


「アクア! あんた、体の方はいいの?」


「うん。これでも水泳で鍛えられてるから」

 な、なるほどー。伊達にアスリートじゃないってわけか。


「アクアさん、その……」


「今回のことなら、もういいよ。事情はわかってるし、あなたが父親やその体のことで苦悩していることも、捕まっている時に聞いたあなたの呟きから、概ね理解してる」


「聞いてらしたの!?」


「えぇ。だからってわけじゃないけど、今までのことは水の精霊らしく水に流してあげる。もう一度、クラスメートとして、友達としてやり直そう」

 思いもよらない言葉に、アレクシアの涙腺が緩む。


「いいよね? イグニス」


「……アクアが許すっつーんなら、しゃーねぇ。俺も認めてやらぁ。ただし、2度とアクアやみんなを傷付けるようなマネをしねぇって約束できるんならな」


「もちろん。誓いますわ」

 そう答えるアレクシアの元に、暖かい声をかけようと近付く奴がもう1人。アラクネ社のせいで親子共々ヒドい目に遭った幸だ。


「2人だけじゃない。私もだよ」


「幸……よろしいのですか? 私はあなた達を……」


「それでも、アレクシアさんには幸せになってほしいの。親を失って孤独になる辛さは、私もよくわかるから。不幸になった分、うんと幸せにならないと」

 その言葉が余程胸に響いたんだと思う。アレクシアは幸をぎゅっと抱きしめると、涙ながらに、


「ありがとう、ございますわ……それと、申し訳ありませんわ」

 って言って、そっからしばらくの間、まわりが見えなくなるぐらい泣き続けた。


 今は泣きなアレクシア。その目から『ありがとう』と『ごめん』の涙が流れきったら、あんたもきっと、前に進めるだろうから……………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。