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嫌い。だけど、ほっとけない

 それは私も同じ。だけど……


「はぁ……まったく、あのバカお嬢は人に迷惑ばっかかけて……しゃーない。行くとしますか」

 私はあいつを救う方向で気持ちが固まっていた。日頃からあいつと反目し合ってる私が助けに行くってのが、よっぽど意外だったんだろうね。思った以上に教室中がざわついた。


「え!? ゆかり!?」


「お前、何考えてんだ! あんな奴のために動かなくていいだろ!」


「そうだよ! お人好しすぎるよ!」

 助けに行こうとする私を制止しようとしたり、非難する声も聞こえる。それでも、もう決めたことだから、止まるつもりはない。


「みんなの言いたいこともわかるよ。そりゃ確かに、あいつのことは大っ嫌いだし、気に食わない。今でも『どん底に落ちた! ざまぁみろ!』って少なからず思ってるよ。けどね、あいつの性根を叩き直すのは、全てを失った今しかないの」


「どうしてそこまで……」


「あんなのでも、一応クラスメートだからね。ムカつくって理由だけでほったらかしにしたままじゃ、寝覚めが悪いよ」

 私がそう言うと、先生は『素直じゃないな』って感じで微笑み、


「それもそうだね。そういうことなら、僕も行こう。生徒の道を正すのは、教師の役目だからね」

 って、申し出てくれた。

 それを受けてなのか、元からそうするつもりだったのか、ソフィーとユリウスも協力してくれることになり、さらには、


「俺も行くぜ」

 イグニスも来てくれることになった。


「イグニス! お前まで!?」


「バーカ。誰があいつのために行くか。今日、アクアも学校に来てねぇ。てことは、あいつもとっ捕まってるかもしれねぇってことだろ?」

 イグニスがそう聞くと、ソフィーは肯定した。


「だったら、彼氏として助けに行く。それでもいいよな? ゆかり」


「もちろん。助かるよ。他のみんなは?」

 念の為、私はみんなにも来るかどうか確認した。けど、誰も動こうとしない。唯一口を開いたコウメイも、


「……行かない。クネリスさんがどうなろうと、僕は…………」

 って、目を背けて答えるだけだった。多分、コウメイの言葉がみんなの総意だと思う。


「そっか。なら、あいつを連れて帰ってくるから、執事さんと一緒にここで待ってて。で、もし、改心させることができたら、その時はあいつのこと、少しぐらいは許してあげてね」

 私がそう言うと、コウメイは小さく頷いた。どうやら向き合う努力はしてくれるみたい。それだけでも十分だよ。


「じゃ、行こっか」


「あぁ」


「おう」

 そう言って私達は、アレクシアがいると思われる音楽ホールへと向かうべく、教室を後にした。


「…………優しいな。岸川さん……」

 という、コウメイの呟きを耳にしながら。


 コウメイ、あんたほどじゃないよ。今回は堪忍袋の緒が切れて見放したんだろうけど、私は知ってるよ。あんたやカスミンの方が私なんかより何十倍も優しいって。だから、信じてるよ。あんたらならあいつとも和解できるって…………

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