白熱の体育祭【決着】
え? なんでわかるんだって? そこも含めてコハクの想定内だからだよ。
「今じゃ! 光明!」
「うん……! 五芒呪縛。急々如律令!」
私の左足を支えていたコウメイが、コハクからの合図を受けると、片手で素早く五芒星を描き、そう唱えた。
すると、瓢介以外の敵の騎馬全てが、五芒星の形をしたエネルギーの鎖に縛られて動けなくなった。これには瓢介も予想外だったらしく、面を食らう。
「詰めが甘かったな瓢介。何のために、光明とユリウスを組ませたと思っておる? 光明が呪文を唱えるために持ち場を離れても、ユリウスならば、馬の体で支えられるからじゃ。先にD組とC組を共倒れするのを待ったのも、人数を減らし、五芒呪縛をする際にかかる光明への負担を小さくするためじゃ」
「なるほど。全てはこのためってわけか……いやーまいったまいった。流石だよあんた。だが、こっからどうする気だ? 確かに全滅っていう完全勝利は厳しくなったが、俺だけでもそっちの戦力の半数は削れるはずだ」
確かに瓢介の言うとおりだ。こいつを放っておいたら、こっちが大損害を被りかねない。それこそ、私1人を狙うことだって……
「わかっておる。故にここからは……能力抜きの真っ向勝負じゃ!」
コハクがそう言うと、コハクの馬であるイグニスとアクアとデュラハンは、瓢介に向かって走り出した。狙いは瓢介の頭に巻いてるハチマキ。あれさえ取れば、決着がつく。
けれど、瓢介は一切慌てることなく、コハクのハチマキをサッと奪った。
「らしくないですね。あなたともあろうお方が、何の考えもなく真っ正直から突っ込んでくるなんて」
「ふっ、それはこちらのセリフじゃ。うつけ者。お前ともあろう者が、油断するとはな」
「は?」
そう言う瓢介の視界の外から、蹄の音が猛スピードで近付いてくる。
「誰が『策はもうない』と言うた? 妾達の策は、まだ残っておるぞ?」
「何!?」
そう言い、振り向いた時には、既にユリウスが迫っていた。振り落とされまいと必死にユリウスの体にしがみつくコウメイとカスミン。それと、ユリウスの無駄にデカい図体の後ろに隠れ、霊気と気配を消した私を乗せて。
「岸川が、いねぇ!?」
「これが妾達の最後にして渾身の策よ! その距離では最早、逃れる術はない。さぁ、決めよ! ゆかりっ!」
「おーっ! 必殺! アッパーストラーイクッ!」
私はそう叫びながら、最後の抵抗として伸ばされた瓢介の手を躱しつつ、あいつのハチマキをアッパーの要領で奪い取った。
強引奪ったことで、瓢介は勢いに押されてバランスを崩し、落馬。誰が見ても明らかな決着に、体育の先生は太鼓を2回鳴らし、
「そこまで! この勝負、B組の勝ちぃ!」
と、競技終了と私達の勝利を知らせた。




