復讐の悪役令嬢
「りく……りく……」
何度も呼んでみるが返事はない。
「りく!お願いよ!起きて!起きなさいよ!私の食事は?!私のお世話は?!」
アンソーネは自分で言っていて呆れた。思い付くのはこの後に及んで自分の事である。しばらくして食料が尽きると仕方なくアンソーネは街に出ることにした。雪が降る日だった。街をフラフラと歩いているとある広告を目にする。
「新型スマ、ホ?」
そう、街にはスマホが普及していたのだ。
「ねぇ!これ!何?!」
アンソーネはその店に入ると中古のスマホが売りに出されていた。
「何って嬢ちゃん知らねーの?空から降ってくるスマホってアイテムだ。今じゃ持ってねーやつはいねーよ?」
天から降ってきた謎のアイテムは今や全国民が持つ科学アイテムとして大人気になっていたのだった。
「そ、そう……」
スマホはもうアンソーネだけのものではなくなっていた。その事実にアンソーネは愕然とした。店を出るとアンソーネは笑った。
「はははっ!何よ!もう特別でも何でもないの……ふふふっ!私なんてもう何も……何も……」
何もない。涙が溢れる。店のガラスにうつる姿は特権階級だった頃の面影など全く無かった。ただの太ったブスだ。ああ、どうして?どうしてこうなったの?そう思うアンソーネ。そんな彼女は考えた末に1つの答えを導き出す。
「……さ、ない。」
言葉にならない声でそうつぶやく。
「許さない!!」
そうだ。自分を陥れたのはハクトだ。全てハクトのせいだ。そう思ったアンソーネは決意した。復讐するのだと。それから彼女は引きこもりを辞めた。なんて事はない。また引きこもったのだ。だが、ただ引きこもったのでは無い。今度は違う。彼の、そして自分の復讐のために引きこもるのだ。
「さあ、復讐劇の始まりよ。」




