引きこもりになりますわ!
「こんな事になるなら……あの時……。」
「全ては貴方の仕業だったなんて!」
「はははははっ!だから言っただろ?お前を……」
目覚めると真夜中だった。夜中にスマホをいじっているうちに寝てしまっていたらしい。
「夢……?」
スマホの画面は暗くなっていた。アンソーネはスマホを弄る。時間までちゃんと出てくる。
「3時……」
アンソーネはネットサーフィンを続ける事にした。
「そう、これよ!これ!引きこもり!!」
アンソーネは昼間に出会った言葉の引きこもりについて調べて見ることにした。
「えーと、引きこもりとは……」
引きこもり、それは社会との交流を6ヶ月以上取らなくなった人間を意味する。
「引きこもり!!」
それは彼女にとって稲妻が落ちたような衝撃だった。次期国王の妻として英才教育を受け、毎日マナーレッスンと勉強の毎日。そんな彼女にとってそれは信じられない事だった。
「決めた!私、引きこもりになりますわ!!」
そう決めた彼女にこれから悲劇が起こるなど誰も想像し得ないだろう。ほのぼのライフが待っている。そう思った一寸先は闇なのだ。
ついでにだが、調べているうちに彼女は自分のいる世界が現代の小説の中の世界とそっくりで、今自分のいる世界は小説の中の世界だと知った。
引きこもりになると決めた彼女はまず、部屋に籠る事にした。
「お嬢様!マナーレッスンに来られないとはどういう……」
「黙りなさい!私は引きこもりになるの!」
「何を言って?!」
「素晴らしい文化よ!私は決めたのです!もうでて言って!」
そう言ってじいやを部屋から追い出した。
外では使用人達がくすくす笑っていた。
「引きこもりになるですって!」
「何をお考えなのかしら?」
「ついに気でも狂われたの?」
「ふふ、いい気味だわ。私達をぞんざいにあつかったりするから!」
「…………」
知っていた。使用人達の忠誠は嘘なのだと。いつ命を狙われてもおかしくないと。アンソーネは知っていた。
「頭にきましたわ。」
部屋からじいやに命令する。
「じいや、そこの使用人達を首にしてくださる?」
「お嬢様、何かあったのですか?!」
「使用人達が影口を叩いたの!貴方の責任でもあるわ!」
「申し訳ありません!すぐに指導しておきます!」
そうして、その使用人達は帰ってこなかった。知っている。じいやの忠誠も嘘なのだと。アンソーネの味方など1人も居ないのだと、そう思った。クリスト様なら?そう思うアンソーネだが、すぐにその言葉を飲み込んだ。クリストも自分なんて相手にしてくれてはいないのだ。分かっている。
スマホの画面がつく。
「……道具は便利ね。影口も叩かないし、言うことを聞いてくれる。」
そうして、アンソーネはスマホを大事そうに胸に抱く。
「道具だもの……」
その日からアンソーネはネットに入り浸る事になった。
14歳の春。
「お嬢様が引きこもられて早7年か。」
じいやはそう呟きながらアンソーネの部屋へ向かった。
「お嬢様、今日こそはお外へ出てもらいます!お嬢様!お嬢様!!」
ノックするがしばらく返事がなかった。
「……黙りなさい!」
「は、はい!」
「食事には早いでしょう?!なんの用なの?!」
「どうか出てきてください!明日から魔法学園へ入学していただからなければ、私の首が飛ぶのです!」
「あら、そう。ついに貴方も首ね!」
「お嬢様!どうかお願いでございます!」
「うるさい!」
「今日はクリスト様もおいでに……」
「そう……」
クリストと聞くと飛びついていた彼女はもう居なかった。7年の間に彼の冷たい態度に飽き飽きしていた。それよりネットの方が楽しいからだ。
「もう、いいの。帰って貰って。」
「お嬢様!どうか!どうか!お願いいたします!クリスト様も1目会いたいとの事で……外に、1歩外に出て頂くだけでも!」
「……わかったわよ。」
今までになく本気で頼まれた。そこまでどうしてもといわれれば仕方ない。アンソーネは外にでる。
「?!」
「どうしたの?」
「お、お嬢様?!」
そこに昔の可愛らしかった彼女は居なかった。肢体は太りぷくぷくで、胴体はまん丸。アンソーネは激太りしていたのだった。




