愛故に……。
黒幕が分からないままの日々が続く中、王子と会う機会が増えていた。
「ご主人様。第一王子がお見えです。」
「そう、すぐに行くわ。」
アンソーネが応接室につくと彼はいた。
「アンソーネ。」
「クリスト様、本日はどのようなご要件で?」
「要件がなければ許嫁にあってはいけないのか?」
「そうではありませんが……」
今まで興味すら持って来なかったと言うのに何故か最近はアンソーネに王子が会いに来る回数が増えていた。
「ならばいいだろう。」
「……ならば聞かせてください。私によく会いに来るようになった理由を!」
「……そんなのはお前を愛しているからに決まっているだろう?」
「?!」
アンソーネは絶句した。あの自分に無関心だったクリストが自分を愛していると言うのだ。驚かないわけがなかった。
「……嘘をつかないでください!貴方は私が国外追放された時も何もしてくれ……」
ドンッ
「きゃ?!」
クリストはアンソーネを押し倒して剣を首筋に添えた。
「愛している。」
「随分と乱暴な愛の告白ですわね。」
「ああ、当たり前だろ。私はお前が苦しむ姿を見るのが好きなんだよ。」
「?!」
「ずっと見てた。お前を。どうすればその顔が歪むのか知りたかった!」
アンソーネは王子を足蹴にするとなんとか王子から逃れた。
「ふざけないでください!一体何を言って……」
「さあ、今からお前を切り刻む。せいぜいいい声を聞かせろ!お前も私を愛しているだろう?」
そう言って彼は迫ってくる。
「いやっ!」
「こんな事になるなら……あの時……。」
なんとか逃れる。
「全ては貴方の仕業だったなんて!」
「はははははっ!だから言っただろ?お前を……」
︎︎゛愛している︎︎゛と……。
アンソーネは走った。逃げる。王子は剣を振り回し追ってくる。
「お前が狼にやられそうになった時は肝を冷やしたよ。お前を失うぐらいならあの時、お前を、国外追放した時、お前を連れ戻せばよかったと!今でもあの時連れ戻せばよかったと思っている!」
「どうやって!第二王子を嵌めたんですの!?」
「そんなの簡単だ。あいつの部下にあいつを唆すように命じただけだ!」
「そんなっ!きゃっ?!」
アンソーネは派手に転んでしまった。アンソーネの顔の横を剣が掠める。
「お前を手に入れる。今からその顔を苦痛と痛みで歪めてやる。」
「やめて!!」
剣が、飛んだ。
「え?!」
「なっ?!」
「迎えに来たぞ。」




