引きこもりの悪役令嬢
「これで世継ぎが決まったわね。」
「ええ、第一王子の天下だわ。」
「全くよ。私あの方苦手なのだけど……」
「これ!何を話している!早く持ち場に戻らんか!」
「は、はい!スート様!」
スートはレンブラン家を去った後、王城にて雇われていた。
「スート様ったらごきげん斜めね。」
「ほら、あれじゃない?」
「あれ?」
「あの人の元主が国に戻って来たからよ。」
「あぁ、あの公爵令嬢ね!」
この頃国では公爵の無実が正式に決まっていた。アンソーネは公爵家を復興する為にスマホで奔走している。そして……
「また婚約を結ぶそうよ?」
「ええ、公爵を無実で殺してしまったことを王様が悔いたそうね。」
そう。アンソーネは国王の温情で第一王子と婚約する事になったのだ。
「ええー、私第一王子狙ってたのにー。」
「あんたじゃ無理よ!はははっ!」
「でも、その令嬢引きこもりらしいわね?」
「そうそう。」
「引きこもりなんかに婚約者が務まるのかしら?」
公爵の無実が証明されたとはいえ、アンソーネをよく思わない人間は少なくなかった。7歳までの彼女の行いの結果だろう。スートもまた、彼女の再婚約に反対の1人であった。
「全く、あのわがまま外道娘が帰ってくるなんてな……」
スートは呟くと窓の外を見る。スートはアンソーネを思い出すのも嫌になほどアンソーネを毛嫌いしていた。そして、第一王子はアンソーネと再婚約した。アンソーネ15歳の時のことである。1年ぶりに会うアンソーネと王子。
「クリスト様……」
「アンソーネ。元気そうでなによりだ。」
「……はい。ありがとうございます。」
そう短く挨拶しただけでクリストは帰っていった。アンソーネになど興味もないかのように。しかし、アンソーネの心には彼がいた。
「りく……」
アンソーネはりくの形見であるネックレスを見つめる。地位は取り戻せても命は取り戻せないから……。アンソーネは涙を浮かべた。
一方捕まった第二王子が変な証言を始めていた。
「公爵家を陥れたのは俺じゃない!黒幕は別にいる!」
なんて、往生際の悪い事を言っていた。アンソーネはそれを聞いて怒りで震える。
「黒幕って誰よ!全く!!」




