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作者「この衝撃の事実に読者は大興奮間違いなしだな!」

 五回目のゲームの後、巴は秋山玲於奈の扱いに悩まされていた。


 シークレットを引いた人間だからと言って、今後も生き残れるとは限らない。最初は誰だって死ぬ確率が高い。だからこそ先人の助けが必要なのだが、巴にはそれができない。もういっそ、死ぬなら早く死んで欲しいとさえ思った。

 しかしそうもいかない。彼女の方が、死ぬかもしれない相手と関りを持つ覚悟をするべきなのだろう。


(五回、いや、三回にしよう)


 三回生き残ったら、自分も覚悟を決めて声をかけようと決めた。

 もちろんその間の荒神は全て自分が倒すつもりだったし、彼女からして見れば比較的軽い条件だった。

 これが弱い彼女が選んだ新たな道を踏み出す方法だった。



 六回目のDCW。入った時に彼女は呆然とした。スタート地点に今までにない量の看板が並んでいたからだ。荒神は一体だけだが、上級の数があまりに多い。

 これは生き残れないかもなと思った。だが一緒に行動していたら彼を守れるかもしれない。

 巴の心は揺れ動く。

 そうやって悩みながらも踏ん切りがつかないでいると、玲於奈がやって来た。


「また会ったな。もしかして待っていてくれたのか?」

「チームが揃わないとミッションが始まらないんだよ」

「そうなのか。待たせて悪かった。じゃあ、今度からは入る時間を決めるか?」


 簡単に次の話をしてくる玲於奈の愚かしさに、自分の考えを棚に上げて軽蔑の笑みがこぼれた。


「必要ないよ。どうせお前は今回で死ぬし」


 玲於奈はむきになって反論してくる。


「死ぬ死ぬってなんでそう思うんだよ。俺は前回だってちゃんと生き残ったぞ。まあ、確かに荒神は君に倒してもらったわけだけど」


 そう言えば教えていなかったと、巴は看板を指でさした。


「そこに看板があるでしょ? 毎回スタート地点に置かれた看板は敵の強さを示していて、丸とバツのやつは荒神。黄色の逆三角形は上級荒魂。前回は最上級と中の上が一枚ずつだったけど、今回は上級荒魂が五匹もいる。前みたいにその場所から動かないとも限らないし、あんまり甘くないよ」

「そんなルールがあったのか」


 玲於奈が感心したように声を出した。まだ二回目で、きちんとルールさえも知らないような人間が生き残れるなど考えるのはやはり甘い。

 巴は彼を無視してミッションを確認し、「へえ」と小さく呟いた。


 今回のメインミッションが巣の壊滅であるということは、恐らくそこに上級も固まっているのだろう。群れを形成するタイプに多い現象だ。それならば一緒に行動する必要もない。


「今回もメインはわたしがやるから、お前は来るなよ」


 そう言って彼女はさっさと一人で歩きだした。今回もなるべく早く倒すつもりだ。

 しかし立ち去る彼女の背中を、玲於奈がわざわざ追いかけて声をかけてきた。


「なあ、俺と協力しないか。俺のシークレット武器の効果で、敵を倒すとスキルを手に入れるんだ。まず俺のスキルを育ててから、一緒にメインに挑戦した方がそっちも楽だろ」


 協力という単語が聞こえた瞬間、また美玖の声が聞こえ、後の言葉をかき消した。

 慣れてはいるが、勘弁してほしい。

 巴は耳をイヤホンで塞ぎ、逆に問い返した。


「それってわたしが一人でやるより早い?」


 それに尽きる。最後までそれでもいいくらいだ。




 ツチゴモリとやらの巣に着いた時、巴はしばらくどう攻めようか迷った。


 相手の巣は洞穴のような形をしていたが意外としっかりとした作りで、見張りも立っていた。ツチゴモリたちは二足歩行のオケラのような荒魂だった。背丈は一メートルほどだが、背が曲がっているせいでそれよりも低く見える。

 彼女の刀スキルはまだレベル7で、広範囲の殲滅には向いているが連続して使うことはできないため、入り口から一気に吹き飛ばすということはできない。


「まあ、なんでもいいか」


 彼女は堂々と見張りに近づき、相手が驚いている間に切り捨てた。

 悩んだ末に選んだのは正面突破だ。

 彼女には自信があった。多対一の戦いは慣れている。閃華の中に残切を織り交ぜることで多方面を同時に攻略できる。生命もレベル4になったことで使用回数が二回に増え、持久力もついた。

 それに、あまり時間はかけたくなかった。ぐずぐずしていると荒魂に玲於奈がやられるかもしれない。


 心配するくらいならそばについてやればいいのにと、彼女は巣に足を踏み入れながら自嘲した。

 それでもまだ、怖かった。触れ合った先に、心を通わせた相手を失うことが。それならば一人の方がずっといい。

 しかし巴は、このことでひどく後悔させられるのだ。


 巣の中は暗かったが、定期的に出入り口があるおかげでまったく見えないほどではなかった。土と糞の匂いがする。

 出会った敵を斬りながら奥へ進んでいくと、徐々にその数が増えた。一定の地点を超えるとその数はさらに増え、前に進めないほどとなった。


 一番奥の広間らしい場所に着いた時、そこには二匹の大きなツチゴモリが居た。周囲を雑兵が固めている。


 自分はさしずめ王の首を取りに来た侵略者かと思うとなんだかおかしかった。

 まずは状況を有利にするため、周りの雑魚を蹴散らそうと、彼女は二回目の紅一刃炎を使用した。すぐさま生命で体力を回復し、残った巣の主に飛びかかる。

 しかし奇妙なことに、巣の主は紅一刃炎に大ダメージを受けているようだった。二匹とも虫の息で、ろくに抵抗することなく巴に斬られた。


 絶対におかしい。こんなのが荒神であるはずがない。


 そう思ってミッションを確認すると、まだメインミッションは達成したことになっていなかった。あとから判明したのだが、巣を壊滅させる場合、立て直しが不可能なほど巣の住民の数を減らすのが条件だったらしい。


 そんなことは知らず、巴はまだどこかに荒神が居るのだろうと巣の中を探し回った。条件に気が付いたのは時間をかけて巣を隅々まで捜し歩き、その中でメインミッションを達成した後だった。


(荒神がメインミッションに居ない!?)


 玲於奈の危険に気が付いた時、彼女はひどく慌てされられた。

 今までそんなことは一度もなかったのに、どうして今回に限ってそんなことが起きてしまったのだろう。

 彼女は急いでマップを取り出すと、彼の居る方へ走りだした。



 玲於奈に近づくにつれて、辺りが荒れていった。大規模な戦闘があったのが分かる。つまりは荒神に遭遇したのだろう。

 そんなつもりはなかった。危険は全部自分が引き受けて、彼は荒魂を相手に生き延びられればそれでよかった。


「お願いだから、生きていて」


 切なる願いを込めて呟く。

 玲於奈の下にたどり着くと、大量の砂になった荒神の死体の横で彼は今まさに食われそうになっていた。

 背後から上級荒神を瞬殺し、玲於奈を助け出す。


「大丈夫!? ねえ、生きてる!? お願い、返事して!」


 玲於奈は死体のように動かなかった。しかし急いで首筋に手を当てると、脈があった。さらに彼女の声に反応してまぶたがピクリと動いた。まだ意識がある。


(生きている……)


 彼女は安堵し、思わず抱きしめた。自ずと涙と一緒に「よかった」という声が漏れた。

 しかしまだ安心するには早い。信二さんの時のように戻ってから治療が間に合わず死んでしまうかもしれない。


「お願い、しっかりして。まだ終わってないの!」


 彼女は必死で声をかけながらポケットをさぐり、スマホを取り出した。彼の指紋認証でロックを解除し、登録されている住所を探し出す。


「寝たら駄目! お願いだから起きてて! あとほんの少しの間でいいから!」


 本当にあと少しなのだ。

 彼女は玲於奈の指を取り、DCWから脱出させた。

 そして自分も急いで脱出すると、覚えた住所に救急車を送った。



え、ええー!? 巴が助けてくれた人だったのー!!(棒)


評価・コメント等お待ちしておりますm(__)m

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